人類が迎える「第3の定常化時代」はどんな時代か 問いなおされる「拡大・成長」と「不老不死」の夢

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人類は「第3の定常化の時代」に突入している(写真:metamorworks/iStock)
新型コロナウイルスの出現、大規模災害をもたらす気候の激変と温暖化、グローバル資本主義による格差と分断。こうした事態は、人類に世界観、生命観、死生観のあり方を問いなおす必要性を迫っているのではないか。
このたび『無と意識の人類史:私たちはどこへ向かうのか』を上梓した広井良典氏が、人類は新たな「生存」の道へ転換を図れるのか、を探る。

私たちはどこへ向かうのか

私たちは今、人間の歴史あるいは時間の流れの中で、どのような場所に立っているのか。そしてどこへ向かおうとしているのか。何を目指しているのか。

『無と意識の人類史:私たちはどこへ向かうのか』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

一見“壮大”すぎるようにも見えるこうした問いに、現在、多くの人々が関心を向けるようになっている。昨今、ビジネスパーソンの間でも、歴史や哲学に関する書物がよく読まれるようになっているのもその1つの現れだろう。

なぜそうなのか? 1つには、現在の私たちが根本的な意味での変化の時代、言い換えれば数百年単位、あるいはもしかしたら数千年単位での、人間の歴史の中の大きな「転換」の時代を生きようとしているという点がある。そうした時代にあっては、変化のスケールが圧倒的に大きいために、「長期の時間軸」で物事を捉え考えなければ「数年先」のことも予想できず、未来の展望が開けてこないのだ。

もう1つは、現代という時代を生きる私たちにとって、生きていくうえでの「拠り所」となるような考えや世界観のようなものが見えなくなっているという点がある。

いわゆるデジタル化やIT等々を通じて、私たちの日々の仕事や生活は従来にないようなスピードで動いているように感じられ、またさまざまな「科学」的知識や情報も大量に流通している。しかしそれらは基本的に個々の事実や情報の「断片」の集積であり、根本的なところで、私たちが今どういう場所に立っていて、どこに向かおうとしているのか、何を拠り所にすればよいのかといった基本的な問いは、むしろ脇に追いやられ、見失われかけているのだ。

「コスモロジー」という言葉がある。それは大きく言えば「宇宙の中での人間、あるいはこの私自身がいる場所」を示してくれるような何らかの世界観といった意味だが、そうしたコスモロジーが解体し、生きていくうえでの土台になるものが見えなくなっているのが現在なのである。

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