ディズニーアニメ立役者の「大逆転」人生 ディズニーをクビ→ジョブズの下で大復活!

✎ 1〜 ✎ 39 ✎ 40 ✎ 41 ✎ 最新
拡大
縮小
アニメにこだわりすぎて、ディズニーを一度クビになった男が、いまやディズニーアニメの最重要人物に(写真:ロイター/アフロ)

今から30年ほど前、コンピュータグラフィックスによるアニメーション映画を作るなどは、とんでもない考えとされていた。実験的なグラフィックスアーティストやアニメーターがちょっとやってみるのならまだしも、大手の映画会社にとっては制作費が膨大にかかるにもかかわらず、人気が見えないリスクの大きなものだったのだ。

その証拠に、ジョン・ラセターはコンピュータアニメーションを制作しようと社内で一生懸命説いて回った揚げ句、ディズニーをクビになった。1983年のことである。ディズニーは、ラセターがそこで働きたいと子供の頃から夢に描いていた会社。せっかく手に入れた理想の職場は、このせいで彼の人生から消えてしまったのだ。

現在、ピクサー・アニメーションのチーフ・クリエーティブ・オフィサーとして名高いラセターにそんな過去があったとは信じられない。だが、このエピソードはクリエーティブな人間は先見の明を持つこと、先例がなくとも怖れずに広めようとすること、そしていずれ同じようにクリエーティブな人々に見いだされサポートされて、結局は世界を変えていくのだということを実感させる。

しかも、面白いことにラセターは今、かつて彼を追放したディズニー・スタジオ全体のチーフ・クリエーティブ・オフィサーでもある。世界の子供たちに夢を与えてきた歴史あるスタジオの頂点に立つラセターは、自分を「でっかい子供」と称しながらも、テクノロジーの先端とクリエーティビティの限りを尽くしたストーリーを世に送り込む役割を担っているのだ。

繊細に描き出される、キャラクターの「心」

ラセターの名前が知られるようになったのは、ピクサー・アニメーションが製作した『トイ・ストーリー』や『バグズ・ライフ』『モンスターInc.』『カーズ』といったアニメ作品によってである。オモチャや昆虫が主役になり、それぞれに愛くるしいキャラクターが仲間と一緒に苦難に立ち向かい、挑戦に破れたりする。仲間割れがあり、仲直りがあり、そして最後はついに勝利と平和を手に入れる。

単純なストーリーにも思えるが、それを見応えあるものにしているのは、キャラクターを細やかに表現し、物語をダイナミックに進めていくアニメーションの力量だ。

次ページ愛されるための、2つの最重要ポイント
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT