経験ゼロの男性がたった1年で「離婚」したワケ 相談所に入って「35回」見合いをして結婚した

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結婚相談所での結婚は、まずはプロフィールで相手選びをする。年齢、学歴、年収、住んでいる場所、どんな仕事をしているのか、家族構成、初婚か再婚かなど、自然の出会いならば時間をかけて知っていく相手の情報を、会う前に知ることができる。なので、お見合いを申し込んだり、受けたりするのは、自分が結婚をしてもいいと思う条件の相手だ。お見合いしてお付き合いに入ったら、人柄に触れながらフィーリングを確かめ、生活をしていくうえでの価値観が一緒かどうかを見ていけばいい。

私の相談所の最短記録は、2週間だ。そのカップルは、1年後には女の子を授かり、今も幸せに暮らしている。生活圏内で出会い、5年6年付き合って結婚しても、すぐに離婚をしてしまうカップルもいる。結婚相手を決めるのに大事なのは、どのくらい付き合ったか、その時間ではない。

一緒の生活が始まったときに、どのくらい相手を思いやれるか。何か問題が起きたときにそれを2人で話し合い、乗り越えることができるか。相手の欠点を見逃し、許すことができるかではないだろうか。

実際何年も付き合っていたカップルが結婚し、その後、モラハラやDVが発覚することもある。

実家の遺産トラブルから、人が変わった元妻

智明の場合は、どうだったのか。

「結婚生活は、最初からすれ違いの日々でした。当時、今とは違う会計事務所で働いていたのですが、365日のうち300日出勤という過酷労働を強いられていました。帰宅は毎日10時過ぎ、遅いときは11時を回っていました。元妻は医療機関に勤めていたので朝が早く、帰宅したときには、すでに就寝していることもしばしばでした」

日々の夫婦の会話をする時間がほとんどないままに、新婚生活3カ月が過ぎた。

「その頃から、何か元妻の様子がおかしくなったんです。だんだんと笑顔が消えていったし、誰に電話しているかわからなかったけれど、いつもお金の話をしていた」

元妻は、遺産相続争いに巻き込まれていた。元妻の父はすでに亡くなっていたのだが、祖父母が相次いで亡くなり、その遺産を元妻と元妻の妹と叔母が相続することになった。祖父母が残した土地を売りたくない叔母。土地は処分してお金に換え、それを相続人で分けて、スッキリとさせたかった元妻と妹。そこに妹の夫が出てきて、「知り合いの弁護士を立てる」と言ったことから、遺産相続が泥沼化していった。

その話をあるとき智明は元妻から聞かされたのだが、智明には関係のないことだったので、口は出さずに静観していたという。

そんな最中、元妻が、「賃貸で毎月家賃を払っているなら、マンションを買ったほうがいいんじゃない?」という話を持ちかけてきた。家を買えば、そこが終の住処になり、結婚への意識も変わる。智明は、「これは、ギクシャクした関係を修復するには、いいチャンスだ」と思った。

「頭金いくら出せるの?と聞かれて、『2500万円くらいは出せるかな。それで、5000万円くらいのマンションを買って35年でローンを組めば、修繕費を入れても返済額が今の家賃よりも安くなるよ』と言ったんです」

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