「元妻とお義母さんさんがやりたいプランが毎日スケジューリングされていて、自分はそこについていくだけ。食事も昼夜一緒だから、結局関係修復の話し合いもできないし、何のための新婚旅行なのかと。さすがに僕もヘソを曲げて、帰りの飛行機の中では、僕と元妻との間に冷たい空気が流れていました」
余計に2人の関係を悪化させた新婚旅行になってしまった。
そして、結婚8カ月目に入り、ある光景を見て、離婚は避けられないと悟った。
「結婚するまで僕は実家暮らしでしたが、元妻は1人暮らし。家電や家具がそろっていたので、使えるものは新婚生活で使っていたんです。シングルベッドも買ったばかりだというので、同じメーカーのシングルベッドをもう1つ買って、くっつけてダブルにして使っていた。ところが、ある日仕事から帰宅したら、くっついていたはずのベッドが、離されていた。その光景を見て、海がパカッと割れたモーセの海割りを思い出しましたよ。一緒のベッドには寝たくないという彼女の無言の主張でした。それを見たときに、これはもう無理だなと思いました」
ひたすら関係修復の話し合いの機会を持とうとしていたが、そこからは、具体的な離婚に向けての話になっていった。
一度裏返った女性の気持ちは戻ってこない
離婚に向けての話し合いが進んでいく中で、智明はあるとき聞いた。
「どうして僕と結婚したの?」
すると、元妻は平然といった。
「親に、『一度くらい結婚はしておかないと、世間からヘンな目で見られるわよ』と言われて、結婚相談所に入ったの。結婚してみたけど、本当は1人が楽でよかった」
智明は、離婚になったことはとても残念なことだと思っていたのに、元妻は、むしろスッキリしたような顔をしていた。何とかもう一度話し合えないかと、一縷(いちる)の望みを抱いていたのだが、「女性は、一度決めてしまうと、もう気持ちは裏返らないものなのだ」と、そのとき悟った。
さらに元妻は言った。
「ガスも水道も電気も、私が止める連絡を入れておくから、私がいないときに、自分の荷物を全部運び出してね。何日にやるかメールで教えてくれれば、私はその日、家にいないようにするから」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら