シンガポールは国際学力テストであるPISAでつねに上位にランクインし、教育移住の多い国としても知られる。また5世帯に1世帯が外国人の住み込みメイドを雇っており、共働きがしやすい国というイメージもあるのではないか。かつて日本を見習おうとしていた時期もあったシンガポールだが、今や日本が見習う国かのように見える。しかしはたしてすべてがうまくいっているのだろうか。
シンガポールに住んで4年。まだまだ新参者ではあるが、この連載では、生活者として子どもをローカル幼稚園に入れて暮らす中で、そして研究者の卵としてシンガポール人にインタビューをして回った記録から、シンガポールの景色を書いてみたいと思う。
シンガポールの親たちの証言
今後この連載で紹介していく内容を一部先出しすれば、シンガポールの親たちからは次のような事例が見られる。
もちろんシンガポール人が全員、教育競争で血眼になっているわけではない。階層や人種の差もあるし、たとえば同じ中華系の大卒層の中でもかなりの多様性はある。個人の中でも、競争システムに巻き込まれていくことに対して、本音のところでは「点数だけが大事ではない」「子どもには幸せになってほしい」と疑問を覚えながらも、致し方なく子どものお尻をたたいているというケースも多い。
そこにある葛藤や試行錯誤も含め、日本への示唆になるのではないか。日本は専業主婦前提社会から徐々に共働き社会に移行をしつつあるが、そこでミドルクラスの共働き家庭がぶつかる課題は、他国と同じように「子どもの教育」になっていくのだろうか。
そこでの夫婦の役割分担とはどのようになっていくのか。そしてシンガポールに集まってくるさまざまな国籍の人たちと出会って見えてきた、世界の教育の今後とは。本連載では、北緯一度から見える親たちのリアルと世界の教育競争について、レポートしていく。
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