厳しい現実「スキルのコモディティ化」に抗う策

「コモディティ化の大先輩」消費財の戦略に学ぶ

スキルや知識、技術がコモディティ化するなら、「他の何か」で差別化を図らなくてはなりません(画像:Fast&Slow/PIXTA)
「社会人になってから長い間『暗黒時代』が続きました。そこから抜け出せたのは、『生きる知恵としてのマーケティング』のおかげです」
数々のグローバル企業でマーケターとして活躍している井上大輔氏は、自らの経験を振り返って語る。
「マーケティングのエッセンスを『生きる知恵』として人生に活かせば、仕事・キャリア・プライベートのすべてで『求められる人』になれると気づいたんです」
そんな「生きる知恵」を解説する書籍『マーケターのように生きろ:「あなたが必要だ」と言われ続ける人の思考と行動』を上梓した井上氏に、「スキルがどんどんコモディティ化する時代」に私たちはどのように対処すればいいか、解説してもらった。

人のスキルが「コモディティ化」する時代

どの商品も買い手にとっては大差がないため、売り手が熾烈な価格競争にさらされ、結果買い叩かれてしまうような状態を「コモディティ化」と言います。市場が成熟し、製造技術がどこも総じて高くなると、売り手はこの問題に直面します。

『マーケターのように生きろ:「あなたが必要だ」と言われ続ける人の思考と行動』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

このコモディティ化は、誰にとっても他人ごとではありません。人のスキルや経験も「コモディティ化」してしまうことがあるからです。投資家であり経営コンサルタントの故・瀧本哲史氏は、2011年の著書『僕は君たちに武器を配りたい』(講談社)の中で、次のように指摘しています。

「『コモディティ化』は部品だけの世界の話ではない。労働市場における人材の評価においても、同じことが起きているのである」

必要とされるスペック(知識や技能)が明確であれば、多くの人がそこに向けて努力をします。例えば、簿記の知識があって英語の読み書きができる人材のニーズが高いとわかれば、その技能を習得しようとする人がたくさん現れます。

すると、はじめは希少だったそうしたスペックの人材が、やがては世に溢れコモディティ化するタイミングが、遅かれ早かれ訪れます。かつては高給取りだった人も、数多くいるライバルたちとの価格競争に晒されて、その恩恵にあずかることができなくなってしまうのです。

次ページ「スキルのコモディティ化」は加速する一方
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ベテラン車両の肖像
  • 日本野球の今そこにある危機
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ANAとJAL、国内線で競り合う復活レースの熾烈
ANAとJAL、国内線で競り合う復活レースの熾烈
富裕層、世代でまったく異なる「お金の使い方」
富裕層、世代でまったく異なる「お金の使い方」
サイゼリヤが「深夜営業廃止」を決断した裏側
サイゼリヤが「深夜営業廃止」を決断した裏側
話題の「30分で絵を描く」秘訣、驚くほど簡単4手順
話題の「30分で絵を描く」秘訣、驚くほど簡単4手順
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
メタバース革命が始まる<br>全解明 暗号資産&NFT

不正流出事件から4年。復活不可能に見えたビットコイン相場は米国主導で活況を取り戻しました。暗号資産を使ったNFTの購入、そしてNFT取引が広がるメタバースにもビジネスの機会が広がっています。日本は暗号資産とどう向き合うのでしょうか。

東洋経済education×ICT