厳しい現実「スキルのコモディティ化」に抗う策 「コモディティ化の大先輩」消費財の戦略に学ぶ
インターネットの普及と発展に伴い、英語をはじめ専門的なスキルを習得するコストは、かつてないほど低くなっています。
英会話のレッスンは今やオンラインなら1回数十円で受けられます。ほとんどどんなジャンルでも、第一人者による学習のノウハウが、ブログやYouTubeなどで無料で公開されています。このような時代にあって、人のスキルがコモディティ化するスピードは、今後高まる一方でしょう。
さらに、必要なスペックが明確に定義できる仕事は、今後ますますAIが代替していくようになるでしょう。すでに、法律文書のチェックなど高度な専門知識を有する作業も、AIに代替され始めています。そんななか、スキルのコモディティ化は、加速こそすれ減速することはあり得ません。
そんな時代にあって、人材として必要とされ輝き続けるために、私たちはいったいどんな備えをすればいいのでしょうか。
それを紐解いていくのには、マーケティングの考え方が役に立ちます。なぜなら、マーケティングの実務家たちは、古くからこの「コモディティ化」の問題と向き合ってきたからです。
カギはマーケティングの「4P」ならぬ「6P」
テレビやインターネットで広告され、店頭で目にする商品のうち、「良くない商品」はどれくらいあるでしょうか。見つけるほうが困難、なくらいではないでしょうか。例えば、コンビニに行ってペットボトルのお茶を数種類買ってくるとします。その中で「これは良くない」というものはほとんどないはずです。
これこそがまさに、「どの商品も買い手にとっては大差がない」という状態、つまり「コモディティ化」です。今日、多くの商材において実際に起きていることです。
こうなると、ただ単に「良い商品」をつくるだけでは競争に勝つことはできません。「良い商品」に対する考え方を少し変えなくてはならないのです。
マーケティングを勉強したことのある方なら、「マーケティングの4P」を聞いたことがあるでしょう。Product=商品、Price=価格、Place=販路、Promotion=宣伝の4つのPを、それぞれ顧客起点で最適化していきましょう、という考え方です。
これはとても便利な考え方なのですが、なにぶん1960年代に提唱されたものなので、今日のビジネスを考えるには不十分なところがあります。
そこで、これを代替する新しい考え方の枠組みが、これまでいくつも提唱されてきました。そんな中の1つである「マーケティングの6P」を紹介します。実際にはこの「6P」にもいろいろなバリエーションがあるので、さらにそのうちの1つということになります。
6Pと4Pの違いは、「Product」がさらに3つに細分化されていることです。つまり、Product=機能・品質、Proposition=提案の切り口、Pack=パッケージです。
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