「海外ルーツ持つ子」増えた日本が知るべき現実

養育放棄、貧困、いじめ・・・困難に直面する若者

フィリピンのJFCネットワーク現地事務所「マリガヤハウス」にて。日本の支援者にビデオメッセージを送るため、フィリピンの国歌を合唱する子どもたち(2014年)(写真:野口和恵)
海外にルーツを持つ若者たちが近年、日本社会で存在感を増している。なかでも日本人とフィリピン人を両親とするジャパニーズ・フィリピノ・チルドレンは、日本とフィリピン両国に計数十万人いるともいわれる。その多くは父親が日本人だ。養育放棄や貧困、いじめなどの困難を経験した者も少なくない。そんな彼ら彼女らのエッセイ集が昨年、支援団体の手で世に送り出された。その過程で見えた、日比ルーツの若者たちの思いとは――。

日本人の父を捜す子どもたち

「大坂なおみ二重国籍騒動」「日本はすでに『移民大国』」「本物の日本人って誰?」……。ハーフや移民をめぐる報道を、特定NPO法人・JFCネットワークの事務局長、伊藤里枝子さんは毎日のようにチェックしてSNSやメーリングリストでシェアしている。

「日本のなかでも多様なルーツを持つ人が増えてきて、『日本はこうだ』『日本人はこうだ』とは、もう言えないですよね」

伊藤さんはそう話す。

1980年代以降、フィリピンから日本へ働きに来る女性、ビジネスなどでフィリピンに渡航する日本人男性が増え、その間に多くの子どもたちが生まれた。その子どもたちを略して、JFC(ジャパニーズ・フィリピノ・チルドレン)と呼ぶ。両親のもとで幸せに育つ子どもも大勢いる一方、日本にいる父親から見放され、フィリピンに残される母子も相次いだ。

こうした女性や子どもたちを支えるため、1994年に弁護士と市民によって設立されたのがJFCネットワークだ。日本への渡航もままならず、日本の法律もわからない母親たちの相談に乗り、父親捜しや養育費請求、認知請求といった法的支援を続けてきた。

次ページ設立当初から活動に関わっている伊藤さん
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