「海外ルーツ持つ子」増えた日本が知るべき現実 養育放棄、貧困、いじめ・・・困難に直面する若者
日本人の父を捜す子どもたち
「大坂なおみ二重国籍騒動」「日本はすでに『移民大国』」「本物の日本人って誰?」……。ハーフや移民をめぐる報道を、特定NPO法人・JFCネットワークの事務局長、伊藤里枝子さんは毎日のようにチェックしてSNSやメーリングリストでシェアしている。
「日本のなかでも多様なルーツを持つ人が増えてきて、『日本はこうだ』『日本人はこうだ』とは、もう言えないですよね」
伊藤さんはそう話す。
1980年代以降、フィリピンから日本へ働きに来る女性、ビジネスなどでフィリピンに渡航する日本人男性が増え、その間に多くの子どもたちが生まれた。その子どもたちを略して、JFC(ジャパニーズ・フィリピノ・チルドレン)と呼ぶ。両親のもとで幸せに育つ子どもも大勢いる一方、日本にいる父親から見放され、フィリピンに残される母子も相次いだ。
こうした女性や子どもたちを支えるため、1994年に弁護士と市民によって設立されたのがJFCネットワークだ。日本への渡航もままならず、日本の法律もわからない母親たちの相談に乗り、父親捜しや養育費請求、認知請求といった法的支援を続けてきた。
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