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「海外ルーツ持つ子」増えた日本が知るべき現実 養育放棄、貧困、いじめ・・・困難に直面する若者

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フィリピンでエッセイ集が刊行された後、日本語版を作ることになった。伊藤さんは「一人でも多くの当事者と一緒に作りたい」と写真やイラストもJFCに依頼した。JFC4人の写真撮影班ができ、田中さんも加わる。ある日のミーティングをのぞかせてもらうと、そこではタガログ語がにぎやかに飛び交っていた。

数年前にフィリピンから来て、外資系の人材派遣会社で働く男性はiPhoneで職場や自分の部屋を撮影し、持参した。ベッドサイドには日本語の単語を書いた表。それが写り込んでいる。

「最初は工場で働いていました。でも日本語を勉強して、今の会社に入ることができました。とってもいい会社です。フィリピンから来ると、工場でしか働けないと思っている人が多いけど、頑張ればいろんな仕事に就けます。日本でのフィリピンのイメージを変えていきたいです」

高校2年生の男性も撮影班にいた。高校受験の前年に来日。日本のパスポートを手に持った写真をミーティングの場でみんなに見せた。

「フィリピンで日本のパスポートを取得したその日に撮った写真です。このとき、新しい人生の鍵を手に入れた気がしました」

エッセイ集「父の国・母の国をめぐる旅 伝えたいジャパニーズ・フィリピーノの物語」(写真:柴田大輔)

採用されたイラストは表裏が対になっている

表紙のイラストは、専門学校でデザインを学ぶ矢菅和郎さんが担当した。エッセイコンテスト当時は中学生。日本に来たばかりだった矢菅さんは、自分より少し年上のJFCたちのエッセイを読みこんだ。

「書き手一人一人の情熱と感情が伝わってきました。JFCとして生まれたことによる苦労や困難を乗り越えて、それぞれの人たちの今があるんだとわかって、心が動かされました。どうしたらイラストで書き手たちの言葉を表現できるか何度も考えました」

採用されたイラストは表裏が対になっている。表には日の丸を連想させる太陽と町を歩く親子4人。裏には同じ町並みと家族が描かれているが、太陽と父親の姿がない。「人生から一人の人間が消えたことによって感じる、何かが欠けたような気持ちを表した」と矢菅さんは言う。

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