「痛いセルフブランディング」しちゃう人の盲点 「SNSでのキャラづくり」の前にやるべき本質

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あのブランドは強い、あのブランドにはブランド力がある、というとき、「ブランドの強さ」や「ブランド力」とは、具体的には何を示しているのでしょう。

4月27日19時より、青山ブックセンター本店にて『マーケターのように生きろ』刊行記念イベントを開催します。著者の井上大輔氏と、インスタグラム・ジャパン初代日本事業代表責任者、日本ロレアル初CDOなどを歴任した長瀬次英氏が「マーケター思考をキャリアに生かす」をテーマに対談。詳しくはこちら(写真提供:青山ブックセンター)

ストーリーを持っていること、メッセージや表現に一貫性があること、などいろいろな主張がありますが、「強さ」「力」を評価するのであれば、定量的に、他のブランドと横並びで比較できる要素であることが望ましいでしょう。

そんな要素の1つに、ブランドの「セイリエンス」があります。セイリエンスとは、そのブランドが思い出される場面の多さと、それぞれの場面で思い出される度合いの強さをかけ合わせたものです。

例えば、「マクドナルド」を思い出すのはどんな場面でしょうか?

・ハンバーガーを食べたいとき
・朝食を食べたいとき
・家族で食事をしたいとき
・ドライブ中に手軽に食事をしたいとき
・外出の合間にちょっと一休みしたいとき
・ちょっと環境を変えて作業や勉強をしたいとき
・手軽に夕食を済ませたいとき

こうしたさまざまな場面で、マクドナルドがひとつの選択肢として思い浮かぶのではないでしょうか。一方、その他のハンバーガーチェーン店ではどうでしょう。「ハンバーガーを食べたいとき」には思い浮かぶかもしれませんが、その他の場面ではなかなか思い浮かびません。

また、「ハンバーガーを食べたいとき」という場面ひとつとっても、おそらく最初に思い出すのはマクドナルドで、その他のチェーンは2番目以降か、場合によっては思い出されないこともあるのではないでしょうか。

思い出される場面が多い、それぞれの場面で思い出される度合いが強い、というのは、まさにこのようなことです。

「思い出される場面」を拡張するマーケティング

1971年に日本第1号店がオープンした当初、マクドナルドは「家族で食事をする」場所でした。1970年代生まれの私が子どものころ、週末に家族でマクドナルドに行く予定は、その週の中ごろには決まっているものでした。

そこからあしかけ50年、同社のマーケティング活動は、「マクドナルドが思い出される場面」を怒涛の勢いで拡大し続けてきました

本格的な「ドライブスルー」は、70年代の後半に同社が日本で初めて導入したものでした。「朝マック」「マックカフェ」というコンセプトが開発されると、思い出される場面は「朝食を食べたいとき」「外出の合間にちょっと一休みしたいとき」にまで拡大されました。

次ページマクドナルドの成功を「個人のキャリア」に活かす
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