THE昭和「どぶ板選挙」がいまだ健在な深いワケ 「何年も変わらないこと」の裏に潜む合理性
変化の激しい時代に30年前から変わらないもの
日本に商用インターネットが登場して約30年、iPhoneの発売から約15年が経ちました。その間に世界は激変したと言っていいでしょう。いつでもどこにいても観たい・聴きたい映画や音楽がサブスクリプションで楽しめ、自宅にいながら仕事や会議までもができてしまう未来。それを30年前に予測できていた人はどれだけいるでしょうか。
一方で、15年前からも30年前からも、あまり形を変えていないものがあります。選挙戦の戦い方はその1つです。
2013年4月の公職選挙法改正で、選挙活動へのインターネット利用が解禁されました。ホームページやSNSアカウントを持っていない国会議員はいまや少数派でしょう。
それにもかかわらず、いわゆる「どぶ板選挙」は、いまだに選挙戦略の定石です。街頭演説や選挙カーで自らの名前を連呼しては、駅前や商店街に立って街ゆく人に笑顔を振りまく。そんな候補者の姿は、30年前も今も変わらず選挙戦の風物詩です。
そうした選挙戦を戦うのは、何もネットに馴染みが薄い年配の候補者だけではありません。都道府県や政令指定都市の首長戦などでは、むしろ対抗馬であることの多い若い候補者ほど、インターネットと合わせて、むしろそれ以上に時間をかけて、街頭での「どぶ板選挙」に精を出しています。
だとすると、実際に「どぶ板選挙」には、ネット選挙同等、あるいはそれ以上の効果があるのではないでしょうか。そして、実はそれは、マーケティングの観点からも理にかなっているのです。
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