THE昭和「どぶ板選挙」がいまだ健在な深いワケ 「何年も変わらないこと」の裏に潜む合理性

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令和の時代になっても「どぶ板選挙」がなくならないのには、きちんとした理由があるといいます(画像:Fast&Slow/PIXTA)
「社会人になってから長い間『暗黒時代』が続きました。そこから抜け出せたのは、『生きる知恵としてのマーケティング』のおかげです」
数々のグローバル企業でマーケターとして活躍している井上大輔氏は、自らの経験を振り返って語る。
「マーケティングのエッセンスを『生きる知恵』として人生に活かせば、仕事・キャリア・プライベートのすべてで『求められる人』になれると気づいたんです」
そんな「生きる知恵」を解説する書籍『マーケターのように生きろ:「あなたが必要だ」と言われ続ける人の思考と行動』を上梓した井上氏に、令和の時代に「どぶ板選挙」が健在な理由とそこから学ぶべきことを、マーケティングの視点から分析してもらった。

変化の激しい時代に30年前から変わらないもの

日本に商用インターネットが登場して約30年、iPhoneの発売から約15年が経ちました。その間に世界は激変したと言っていいでしょう。いつでもどこにいても観たい・聴きたい映画や音楽がサブスクリプションで楽しめ、自宅にいながら仕事や会議までもができてしまう未来。それを30年前に予測できていた人はどれだけいるでしょうか。

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一方で、15年前からも30年前からも、あまり形を変えていないものがあります。選挙戦の戦い方はその1つです。

2013年4月の公職選挙法改正で、選挙活動へのインターネット利用が解禁されました。ホームページやSNSアカウントを持っていない国会議員はいまや少数派でしょう。

それにもかかわらず、いわゆる「どぶ板選挙」は、いまだに選挙戦略の定石です。街頭演説や選挙カーで自らの名前を連呼しては、駅前や商店街に立って街ゆく人に笑顔を振りまく。そんな候補者の姿は、30年前も今も変わらず選挙戦の風物詩です。

そうした選挙戦を戦うのは、何もネットに馴染みが薄い年配の候補者だけではありません。都道府県や政令指定都市の首長戦などでは、むしろ対抗馬であることの多い若い候補者ほど、インターネットと合わせて、むしろそれ以上に時間をかけて、街頭での「どぶ板選挙」に精を出しています。

だとすると、実際に「どぶ板選挙」には、ネット選挙同等、あるいはそれ以上の効果があるのではないでしょうか。そして、実はそれは、マーケティングの観点からも理にかなっているのです。

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