「痛いセルフブランディング」しちゃう人の盲点 「SNSでのキャラづくり」の前にやるべき本質

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ナイツの塙さんが主演する「夜マック」のCMでは、暮れかけた空に黄色い「m」のアーチが映し出され、「仕事帰りの食事」というシーンとマクドナルドを結びつける工夫が図られています。

直近の木村拓哉さん主演のCM、堺雅人さん主演のCMでは、「しっかりとしたスーツを身に纏った大人」がフィーチャーされています。「ビジネスパーソンが仕事中に食事をするとき」というシーンに、マクドナルドが思い出される場面をさらに拡張しようとしているように思われます。

こうした「思い出される場面の拡張」こそが、マクドナルドというブランドの「強さ」「ブランド力」の基盤となっているのです。

自分が「思い出される場面」を拡張する

私たちがビジネスパーソンとして社内や業界内、ひいては日本全体や世界で存在感を発揮するためにも、この考え方はヒントになります。つまり、自分が思い出される場面の多さと、それぞれの画面で思い出される度合いの強さを意識するのです。重要なのは、その「かけ合わせ」です。

デジタル系の案件ならあの人、新規事業ならあの人、プレゼンならあの人、企画書づくりならあの人、とさまざまな場面で「いちばんに思い出される人」には仕事が集まります。

それぞれのシーンで期待に応え、チームに貢献し続けることで、「必要とされる」ことが増えていくでしょう。それにともない、社内・業界内でのポジションは上がり、経済的に報われることも増えていきます

過当競争の時代に注目を集めるには、何か1つの領域で突き抜けるべき、という主張をSNSでよく目にします。「自分を思い出してもらう」ことに着目している点で、この主張は理にかなっているといえます。

一方、一芸に秀でることは、「出発点としては」確かに重要なのですが、それだけでは存在感を発揮し続け、それをさらに拡大していくための必要十分条件を満たすことはできません。

一芸だけに秀でている人より、二芸・三芸・四芸に秀でている人のほうがより必要とされるのは言うまでもありません。「ハンバーガーを食べたい」というシーンでだけ思い出されるチェーン店と、その他の場面でも思い出されるマクドナルドのブランド力の違いを思い出してください。

社内で存在感を示すために、1つの領域でスキルを磨き込み、そこで「思い出してもらう」ことに成功したとします。しかし、それを大事な個性ととらえ、それだけを金科玉条のように守り続けることは、時に存在感の衰退を招きます。新しいライバルは常に出現しますし、その領域自体がそれほどホットではなくなることもしばしば起こりえます。

「朝マック」「マックカフェ」「夜マック」と思い出してもらう領域を拡大したことで、マクドナルドの個性は薄まってしまったでしょうか。むしろ思い出してもらえる機会が増えたことで、そのブランド力は強化され、ほかのハンバーガーチェーンを凌駕する一方です。

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