港区「待機児童0」も頼みの綱は「認可外」保育園 ビル内保育園の増加で園庭保有率は2割届かず

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3歳未満児の食事の費用はどこでも保育料に含まれていますが、3歳以上の食材料費は別途、保護者が負担するのが国の基準になっています(所得等による免除あり)。港区の場合、公立は主食費・副食費(おかず代)合わせて月5000円で、私立は園によって異なります。実は、東京23区は食材料費無料という区が多数(19区)です。世田谷区、台東区、中央区、港区の4区は有料で、私立の食材料費は園によって異なりますが、区から食材料費を無料にする運営費補助は出ていないと考えられます。

多様な子育て支援を展開

港区は、待機児童対策と子育て支援のための多様な事業を実施しているのが特色です。

待機児童の受け皿として、ベビーシッター会社による居宅訪問型事業(認可保育)を導入しています。また、育児休業明け入所予約制度として、1歳までの育児休業の満了時に入園を希望する人のための予約制度を実施しています。毎年、3月に募集して、4月に利用調整指数と抽選で選考して入園予約者を決定しています。

また、港区は認可保育園全園で障害児受け入れ体制を整えているほか、重度障害児等のための居宅訪問型保育事業の実施や、医療的ケア児・障害児専門クラスを設けた認可保育園の開設など、障害児のための保育事業を手厚く行っています。

さらに、休日保育、年末・年始保育、病児・病後児保育などの実施施設も多く、保護者のさまざまな働き方にも対応しています。

その一方で、待機児童対策を急いできたため、園庭が少なかったり、全体に経験が浅い保育士が多くなったり、質の面での課題が見え隠れしています。保育の質の向上策としては、指導検査のほかに巡回指導を行っていて、認可保育園、小規模保育等、認証保育所などへの指導・支援を行っています。指導には、再任用された元公立園園長があたっているということです。

多種多様な子育て支援策に取り組んでいる港区ですが、今後はその財政力を生かした保育の質の向上策が期待されます。

普光院 亜紀 「保育園を考える親の会」アドバイザー

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ふこういん あき / Aki Fukoin

早稲田大学第一文学部卒。保育園に子どもを預けて働く親のネットワーク「保育園を考える親の会」顧問・アドバイザー。保育ジャーナリスト。大学講師。著書「後悔しない保育園・こども園の選び方」(ひとなる書房)、「不適切保育はなぜ起こる」(2024年6月20日刊行、岩波新書)ほか多数。

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