港区「待機児童0」も頼みの綱は「認可外」保育園 ビル内保育園の増加で園庭保有率は2割届かず

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これら認可外保育施設が「認可を利用できていない」子どもの受け皿として機能していることはよいことですが、区の保育の受け皿が認可外に偏っているということもできます。区内に港区保育室は13園、認証保育所は19園あり、その定員数の合計は2323人に上り、認可の定員合計の6411人に対して小さくない数字になっています。港区では、港区保育室の認可化を進めていますが、認可の基準に満たない施設もあります。

なお、港区で「特定の保育園等のみ希望する者」にカウントされた子どもは23.2%にとどまり、100市区平均の44.3%を大きく下回りました。認可外利用者が多数を占める分、結果的に「認可を利用できていない児童」の内訳の透明性が高くなっていると言えます。

なお、2021年4月入園の1次選考後の空き状況を見ると、認可・港区保育室ともに0歳児の空きが目立っており、園によっては1歳児にも空きが見られています。2021年では、上記よりも入園状況が好転している可能性があります。

認可外に預けていても加点はなし

認可保育園等への入園申し込みは市区町村別に行われ、定員を上回る園・クラスについては市区町村が選考(利用調整)を行います。選考は保護者の就労状況やその他家庭の状況を点数化し、保育の必要性が高いと判断された児童から優先的に入園が決定します。

点数化の方法は、自治体によって異なります。基準指数と調整指数を設け、その合計点で選考した後、同点の世帯について決められた優先順位に基づいた選考を行う形が一般的です。港区の選考方法には、どのような特徴があるのでしょうか。

基準指数が勤務時間など保育を必要とする時間が長いほど高くなるのは、港区もほかの自治体と同様です。就労形態によって「居宅外」「居宅内」「自営業中心者」「自営業協力者」などの区分を設けている自治体もありますが、港区は就労形態による区分はなく、勤務時間による点数差があるだけになっています。ただし、調整指数のほうで「自宅での自営で子どもを見ながら就労している者」は3点減点とされているので要注意です。

調整指数は家庭や子どもの状況を点数化するものです。生活保護世帯、ひとり親世帯、きょうだいが在園する園を希望する場合などに加点があるのは、港区もほかの自治体と同様です。他の自治体では、認可外に一定期間在籍していると調整指数の加算がありますが、港区は調整指数での加算はなく、基準指数と調整指数の合計が同点の場合の優先順位として記載されています。

つまり、認可外在籍が有利になる割合は他自治体よりも小さいということです。また、認可外である港区保育室から認可保育園や認定こども園への転園希望については1点減点になっています。港区の場合、港区保育室は認可保育園とほぼ同等とみなされていることがわかります。

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