郵貯が事実上の国有化、猛反発する地域金融関係者、民主党には投票しない!
山口県大島郡--預金取り扱い店舗が40を超す。JAが20、郵便局が16、この二つのグループが地元をがっちり押さえている。それでも、郵政民営化後、郵便貯金の名寄せ作業が進むと、民間銀行に預金はシフトしていった。
山口銀行の福田浩一頭取は「預金者のニーズに応えるため、コストはかかるが、効率化の工夫をしながら4店舗を維持した。町が合併してできた町役場に店舗を置くなどサービスの維持にも懸命に努力してきた。その結果がこれ(郵政事業の見直し)か、とがっかりした」と言う。
メガバンクから信用組合まで、民間金融機関の経営者がまったく納得しないままに、郵貯の預入限度額は現行の1000万円から2000万円に引き上げられようとしている。
民間金融機関関係者の共通の怒りは「実質は政府の3分の1超の出資比率を維持することを明確にうたった国有化。しかも、現状では100%のままで、いつ、出資比率を減らすのか、上場するのかも明確ではない。それなのに『民営を維持する』というのは詭弁としか言いようがない」というものだ。
郵便事業のユニバーサルサービスの維持が必要だという議論が、いつの間にか「金融のユニバーサルサービスが必要」という議論にすり替わってしまった。郵貯資金が260兆円(1999年度)から178兆円(2008年度)に減り、簡保資金が125兆円(02年度)から104兆円(08年度)に減少した。金融で稼がないと郵便事業も支えられないという。だが、下グラフに見るように、民間からすれば、郵貯は都市圏でも信用金庫と同じ規模。地方では鉄壁の強さだ。
「国営なら少額決済、民営化なら自由化、政府の出資が残る間は業務や預入限度額に制限をつける、という小泉改革の方針は理屈が通るから従ってきた。今回は論理が破綻している」(信用金庫理事長)と話す。