ファーウェイ、制裁下で「増収増益」達成の凄み 2020年の売上高は約15兆円、純利益は約1兆円

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アメリカの制裁下での増収増益は、ファーウェイ創業者の任正非氏が築いた「生き残る」企業文化の具現化だ。写真は2020年1月のダボス会議に出席した任氏(ファーウェイのウェブサイトより)

中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は3月31日、広東省深圳市の本社で2020年の決算を発表した。それによれば、売上高は前年比3.8%増の8914億元(約14兆9488億円)、純利益は同3.2%増の646億元(約1兆833億円)と増収増益を確保した。

これは尋常ならざる業績だ。アメリカ政府は2019年5月、国家安全保障や外交政策上の懸念がある企業を列挙した「エンティティー・リスト」にファーウェイを追加。1年後にはさらに制裁を強化し、半導体メーカーがアメリカ由来の技術が使われたチップをファーウェイに販売する場合、アメリカ政府の輸出許可の取得を義務づけていたからだ。

その結果、制裁が発効した2020年9月15日以降、ファーウェイは半導体の調達が困難になり、スマートフォンに代表されるコンシューマー向け製品事業が大打撃を被った。調査会社のIDCのデータによれば、同社の2020年のスマホ出荷台数は1億8900万台と前年比21.5%も減少した。

にもかかわらず、ファーウェイの主要3部門はそろって増収を堅持した。決算報告書によれば、通信事業者向けネットワーク事業の売上高は前年比0.2%増の3026億元(約5兆746億円)、法人向け情報通信技術ソリューション事業は同23.0%増の1003億元(約1兆6820億円)、コンシューマー向け製品事業は同3.3%増の4829億元(約8兆982億円)を記録した。

クラウドサービスは中国市場2位に

「コンシューマー製品の業績は目標に届かなかったが、これはアメリカ政府の制裁のせいだ。半導体の調達がネックとなり、スマホの売上高が落ち込んでしまった」。ファーウェイの輪番董事長(訳注:ファーウェイは会長に相当する董事長に半年毎の輪番制を導入している)を務める胡厚崑氏は、決算説明会でそう率直に語った。

しかし、コンシューマー向け事業ではスマホ以外の製品の売上高が前年比65%も増加し、スマホの減収分を補って部門全体のプラス成長を実現した。同じく制裁の影響を受けている通信事業者向け事業も、前年をわずかながら上回る売上高を確保した。

そんななか著しい成長を見せたのが、クラウドサービスに代表される法人向けソリューション事業だ。

本記事は「財新」の提供記事です

調査会社のカナリスのデータによれば、中国のクラウド市場における「華為雲(ファーウェイ・クラウド)」のシェアは2020年10~12月期は17.4%と、首位の「阿里雲(アリババ・クラウド)」に次ぐ第2位に浮上した。

総合的に見れば、ファーウェイは極めて厳しい環境下で2020年の経営目標を達成したと言えるだろう。胡氏によれば、それは事業継続を可能とするためにサプライチェーンの多元化を進めた賜物だという。

(財新記者:屈慧)
※原文の配信は3月31日

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