脳の仕組みを知れば一変!集中力を鍛えるコツ 3つの「情報処理ネットワーク」を意識する

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私たちは目の前に見えている世界のうち、1000分の1ほどの範囲にだけ注意を向けています。当然ながら、あなたの家から駅までの間にある電信柱は急に倒れてきたり、動き出したりしません。生命を脅かすような危険な存在ではなく、喜びを与えてくれる情報も発信しないので、注意を向けられることもなく、記憶されることもなく、そこにあるのです。

一方、今のあなたのように、文章に注意を向けているときは、意識的に対象に注意を向けるセントラル・エグゼクティブ・ネットワークが働いています。

額の真ん中に人差し指を当ててみてください。その奥にある前頭前野をメインとした脳のネットワークで、私たちが意図したところに注意を向けたり、何かを考えようと問いを立てたりと、特定の場所に人間の意識を向かわせる役割があります。

ただし、セントラル・エグゼクティブ・ネットワークが働き、「意識して注意を向ける」「何かに集中する」という行為を続けるには、多くのエネルギーが必要です。脳にも大きな負荷がかかるため、時間が経つにつれて注意力はどうしても散漫になり、集中力は続かなくなっていきます。

ですから、もし、あなたが「自分は集中力が足りない」「どうしてすぐに気が散ってしまうんだろう?」と悩んでいるとしたら、自分を責める必要はありません。

脳の仕組みから言うと、注意力や集中力が続かないのは当然。意識して、さまざまな物事に注意を向けられる時間は限られているのです。

ただ、この限られた時間に注意を向け、学んだこと、体験したことはデフォルトモード・ネットワークでの意思決定にも影響を与えます。集中して学んだことは、私たちの経験、記憶として強く残るからです。

例えば、パートナーが妊娠し、出産・子育てのことを意識的に学び始めると、街を歩いていても妊婦さんや小さな子ども、ベビーカーに乗った赤ちゃんに注意が向かうようになります。あるいは、必要に迫られて英会話の勉強を始めた人は、通勤電車で聞こえてくる英語での会話や街頭で耳に入る洋楽の歌詞に、以前よりも意識が向くようになります。

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