脳の仕組みを知れば一変!集中力を鍛えるコツ 3つの「情報処理ネットワーク」を意識する

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この無意識の注意に気づくのは、サリエンス・ネットワークの役割です。デフォルトモード・ネットワークが受け取った情報――「あ! 妊婦さんがいる」「赤ちゃんだ!」「英語の歌詞が聞こえる!」――に、サリエンス・ネットワークが反応。すると、セントラル・エグゼクティブ・ネットワークが注意の対象に意識を向けます。

「妊婦さんに席を譲ろう」

「赤ちゃんが笑っている。1歳くらいかな」

「あ、この曲の歌詞、こんな意味だったのか」

デフォルトモード・ネットワークが自然と反応し、サリエンス・ネットワークがそのシグナルに気づけるのは、それ以前にあなたが意識的に注意を向けた事柄が記憶として定着しているからです。

集中して学んだことは、あなたの中に深く残ります。一度、四則計算の方法を覚えればいつでも暗算ができるように、記憶が無意識の行動や選択を導いてくれるようになります。デフォルトモード・ネットワークは、あなたが経験してきた記憶や経験を土台に「記憶ドリブン」の行動や意思決定を導いてくれるのです。

記憶ドリブンを優れたものにすることがカギ

通勤や通学などで道を歩くとき、私たちはいちいちセントラル・エグゼクティブ・ネットワークを使って、意思決定はしていません。もちろん初めてその道を通るときは「まっすぐ進もう」「次の交差点を右に曲がろう」「次に通るときは、角にあるお店を目印にしよう」など、セントラル・エグゼクティブ・ネットワークを使った注意を向け、選択していきます。

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しかし、何回も同じ道を行き来するうち、行動と経験が脳の中で記憶され、定着し、記憶ドリブンが作られ、無意識でもスムーズに歩けるようになります。脳のパフォーマンスを高める観点で言うと、この記憶ドリブンをいかに優れたものにしていくかが大きなカギを握っているのです。

集中力の仕組みを知ってスムーズに集中できる感覚を養っていけば、その経験の蓄積が記憶ドリブンとなります。

すると、ストレスや疲れでセントラル・エグゼクティブ・ネットワークがうまく働かなくなり、注意力が散漫になったときも、記憶ドリブンに沿って働くデフォルトモード・ネットワークが必要な対応を取るよう、あなたを動かしてくれるようになるのです。この仕組みを仕事や学びに活用していくことができれば、集中力が高まります。

あなたの思い描いている理想の状態と、これからの行動を一致させ、役立つ記憶ドリブンを作っていきましょう。セントラル・エグゼクティブ・ネットワークで理想とする方向に注意を向け、行動し、デフォルトモード・ネットワークに好影響を与える記憶ドリブンを作っていくイメージです。ここに集中力を高め、人生を豊かにしていくヒントがあります。

青砥 瑞人 脳・神経科学者、DAncing Einstein代表

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あおと みずと / Mizuto Aoto

日本の高校を中退後、渡米。米国のUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)にて神経科学を学び、2012年に飛び級卒業。帰国後、2014年にDAncing Einsteinを設立。脳×教育×ITの掛け合わせで、世界初の「NeuroEdTech」という分野を立ち上げ、多数の特許を取得。脳神経科学の最先端の知見を人材開発や教育の分野に応用するプロジェクトを多数手がける。ヒマさえあれば医学論文を読み漁る脳ヲタクでもある。

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