スッキリ「アイヌ差別発言」流した現場の実情  放送前の事前チェックが緩かったのはなぜか

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ただ、「問題」としてより大きいのは②の「確認が不十分だった」という点である。

仮にコーナーの担当者が「無知」だったとしても、「チェック機能」がしっかりと働いていれば、不適切な表現の企画がOAに乗ることはなかったはずなのだ。

その「不適切な表現」となった問題の場面は、朝8時から始まる「スッキリ」の2時間半に及ぶ生放送の中で「最終盤」にあたる10時20分頃に放送された。「スッキりす週末ジョイHuluッス」という企画である。

「スッキリす」は番組スタート時から続く「占い」のコーナーで、そこに2018年5月から、日本テレビが運営する動画配信サービス「Hulu」の告知も入れた企画が「週末ジョイHulu」としてスタートした。

「Hulu」の会員数を増やすことを目的とした、言わば「社命」のコーナーと言っても良いだろう。

企画のスタート当初は、おそらくHuluの幹部や「スッキリ」のプロデューサーも内容についてしっかりと「チェック」をして把握もしていたはずである。

「ニュース」のチェックに比重が置かれる

この「チェック」を担当するプロデューサーは、「スッキリ」のような帯番組では複数いるのが通例である。

ニュースネタを取り扱うことも多いので、コンプライアンスを担保するために報道局に在籍歴があるプロデューサーも必ず配置されているのだ。

そしてプロデューサーにとって、日々の業務でまずチェックしなければならないのは、番組の冒頭で取り扱う「ニュース」である。

現在なら連日新しいニュースが出てくる新型コロナウイルスついて、正確な情報を伝えるために専門家の話で「裏取り」したり、数値を細かく確認したりしなければならない。

「事件」なら容疑者や被害者について「どこまで放送して良いか」を判断しなければならない。

これらニュース系の内容は冒頭から9時くらいまで、およそ1時間分のボリュームがある。そしてこの時間帯こそが、他局との視聴率争いの〝主戦場〟にあたり「手抜き」はできないのだ。

次ページミニコーナーのチェックが「おろそか」になりがちな訳
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