スッキリ「アイヌ差別発言」流した現場の実情 放送前の事前チェックが緩かったのはなぜか
日本テレビ「スッキリ」で起きたアイヌ民族への不適切表現は、加藤勝信官房長官が記者会見で「極めて不適切」と言及するなど、テレビ業界の枠を越えて大きな問題となってしまった。
私は2007年から2年間、「スッキリ」の番組初期に総合演出を務めていた。今の「スッキリ」の原型を作ったという自負がある。
今回の問題は個人的には胸が痛むが、しかしテレビ番組として許されない〝表現〟をしてしまったことは事実である。この点について擁護はできない。
元総合演出から見ても「これはマズい」
一方で、ただ断罪するのではなく、この問題の背景に何があったのかを少し考察してみたい。かつて番組を率いていた立場だからこそ「見える」部分もある。
3月12日(金)放送の「スッキリ」を、私は仕事に出かける準備をしながら他局の情報番組をザッピングしつつ、いわゆる「ながら試聴」をしていた。そして、問題のコーナーで「えっ?」と思わず画面を凝視した。
「スッキりす週末ジョイHuluッス」というコーナーで、出演する芸人の脳みそ夫さんが動画配信サービス「Hulu」の「アイヌを取り上げたドキュメンタリー」を紹介した後に謎かけを披露したのだが、その中でアイヌ民族を差別する表現があったのだ。
私は「これマズいんじゃないか?」と思ったが、その後スタジオで特に触れることもなく放送は終了した。
しかし直後からSNSなどで「スッキリで差別表現」と批判が噴出して大炎上、当日夕方のニュース「every」内で藤井貴彦アナウンサーが謝罪をするという事態になった。
その後、多くのメディアもこの問題を取り上げて波紋は拡大していった。
14日には、出演者の脳みそ夫さんが自身のツイッターで「勉強不足を痛感しました」と謝罪。
そして週が明けた15日(月)、「スッキリ」の冒頭で加藤浩次さんと水卜麻美アナウンサーが謝罪したのだ。
この中で加藤さんは「北海道出身という立場にありながら、OAがあった時、即座に対応できなかったことをお詫びしたい」と語った。
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