意識高い系「自分探しの旅」が失敗しがちな理由

「外への扉」と「内なる扉」がつながるサードドア

「自分探し」に突き進んだ赤裸々な生き様から見えたものは……(写真:Graphs/PIXTA)
2019年8月に発売され12万部突破のベストセラーとなった『サードドア:精神的資産のふやし方』。大好きな祖母から「自分を見失って世界中に自分探しの旅に出るような人にはなってほしくない」と言われても「自分探し」に突き進み、拒絶され続けてもビル・ゲイツやレディー・ガガなど著名人への突撃取材を続けた彼の赤裸々な生き様から見えるものとは。作家の泉美木蘭氏が、本書の魅力を語る。

あの有名なことわざには続きがあった

「井の中の蛙(かわず)大海を知らず」ということわざは、よくご存じだろう。自分の狭い了見だけがすべてだと思い込み、世の中にはもっと広い世界があることを知らず、得意げにふるまっている人を揶揄するために使われることが多いが、このことわざには続きがある。「井の中の蛙大海を知らず、されど空の蒼さを知る」だ。

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大海へと飛び出し、未知の世界で新たな経験を積むという「外への扉」を開く道は、思い描きやすく、冒険心をくすぐられるものだ。

けれどもその一方で、自分の置かれた場所にじっくりと腰をすえたり、自分の内面における鍛錬や探究を積み重ねることで、それまで理解できていなかった物事の複雑さや、周囲の人々の存在意義、価値観、この世の真理などに気がついて、深く成熟してゆくという「内なる扉」を開くという道もある。

どちらも通り一遍のノウハウ本や、ネットの表面的な情報などからは得られないものだが、この「外への扉」と「内なる扉」の両方を開き続けながら成長してゆく、ひとりの若者のストーリーを描いた本がある。アレックス・バナヤン著『サードドア』だ。

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