ダイバーシティは儲かる。本質は「働くにも買い物するにもよい会社」を目指すこと--パク・ジョアン・スックチャ アパショナータ,Inc.代表/ダイバーシティ経営大賞記念講演
これだけ手厚い支援があるのに、なぜ日本の企業で女性が活躍できないのかというと、女性にも甘えがあるとは思います。しかし、女性の自立という問題以上に男性の両立支援が大切です。アジアでは女性がなぜ早く仕事に復帰できるかというと、家事の面倒を見てくれるメイドがいるからです。アジア人の女性は家に帰るとメイドが作ったご飯を食べ、子どもと遊ぶだけです。ヨーロッパやアメリカはどうかというと、メイドを雇うことはおカネがかかるのでできない。では、どうしているかというと、「夫」を活用しています。実際、男性の家事時間が長い国、たとえばアメリカやヨーロッパの国々は女性の管理職率が高いのです。
日本の女性は、夫の面倒までやらないといけない。日本では女性がいちばん夫にやってほしいことは、「自分のことは自分でしてほしい」ということです。日本の女性は、自分と夫と子どものことで時間と労力を取られ、会社に行ったら消耗しきっている。家庭をシェアして、せめて40%ぐらい男性が家事をできるような環境にすれば、女性も日本で活躍できると思います。
ただ、制度で男性に家事をやらせるのは難しい。欧米の男性がなぜあれだけ家事をやっているのかというと、それは妻が夫に「私だって働いている。あなたもやりなさい」と言っているからです。問題は日本の女性が優しすぎること。まず夫と交渉すべきだと思います。
自分ですべてをやろうと思い、結局は過労で倒れたり、仕事がそこそこになってしまったりするのは、女性が「全部やってあげなきゃいけない」と思うからです。会社が女性の支援をすることは、もうあまり残っていません。男性の仕事と家庭の両立支援におカネと労力を注ぎ込んでいただければ、ほかの国々のように女性の管理職率も上がっていくと思います。
梅田 IBMの梅田(パネルディスカッション出席者)です。貴重なお話をありがとうございました。IBMの中で女性活用の面で頑張っているのですが、いつも韓国と日本が断トツでブービー争いをしています。やはり何か文化の壁があるのではないかと思うのですが、パクさんはどのように思われますか。