トーナメント用のコースセッティングというのがあって、ラフを伸ばしたり、フェアウェー幅を狭くし、しかもグリーンは芝をできるかぎり短く刈って、さらにそのグリーン面にローラーをかけて、硬く締めて、超高速グリーンにする。これが単純なセッティングの要素である。
そのときにコースの全長距離も、できるかぎり長く取って、だから難しいというセッティングにしてきた。けれども、この7~8年の全米オープン仕様を見ると、ことさら距離を長くし、とてつもなくフェアウェー幅を狭くするような過去の定番ではなくなってきている。安全に、という姿勢だけではダメ。ミスすればダブルボギーもあるけれど、バーディーもあるという勇気の決断を強いる設定。攻めたいと思わせる、むしろ悩ましいセッティング。2年前の全米オープン(オリンピック・クラブ)では、280ヤード、パー4があった。1オンも可能だけれど、ダブルボギー、トリプルボギーもある。
そのセッティングの妙(出来栄え)が、72ホールのゲーム展開を面白くするのだ。言い換えれば、戦う選手サイドではなく、その舞台のつくり方でゲームを演出できる。
そして今年の全米オープンは、深いラフというイメージを一掃した。ウエストエリアという砂地、そして所々に根の強い雑草などの障害物。その代わり、フェアウェーを蛇行させて、距離感と方向性重視を要求した。選手いじめよりも、むしろショットの精度と頭を使う設定に変えたのだ。
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