宣言延長で「春休み」失った観光業の残酷な現実 2週間の宣言延長は死活問題、GoToも再開ならず
足元の観光業界はあまりに厳しい。観光庁によると、2021年1月の延べ宿泊者数の速報値は1681万人泊(人泊数=宿泊人数×宿泊数で計算。2人で1泊すれば2人泊)だった。2020年1月の4316万人泊から実に61%減となり、Go To トラベルキャンペーン始動前の6月(1424万人泊)に近い水準に戻ってしまった。
要因は言うまでもない。インバウンドの消失に加え、日本人の国内旅行も低調だからだ。12月にGo Toトラベルは停止、年明けに緊急事態宣言も発令され、書き入れ時である年末年始の予約の多くがキャンセルとなった。実際、各社からは「年末以降、低水準の状態が続いている」との声が聞かれていた。
2020年は過去最悪の観光不況
中でも厳しいのは都市部だ。宿泊施設のタイプ別客室稼働率(速報値)を見ると、シティホテルの苦戦が目立つ。2021年1月の稼働率は20.7%と、前年同月比40ポイント超の激減となった。都市部では多くのイベントが中止や延期となり、感染者数も多かったため、出張や観光で避けられている。
そのほかも旅館が12.7%、リゾートホテルが15.0%、ビジネスホテルも33.7%と、それぞれGo To以前に近い稼働率に戻ってしまった。到底、利益を生み出せるような水準ではない。2月も状況は変わらず、1月と同様の推移になったとみられる。
1月の数値と同時に発表された2020年の年間値も散々なものだ。延べ宿泊者数は前年比48.9%減の3億480万人泊。外国人宿泊者数は同84.4%減の1803万人泊で、2007年の調査開始以来最低となった。客室稼働率は全体で34.6%となり、施設タイプ別の数値もそれぞれ最低(2010年に調査対象を10人未満の施設に拡大して以来)だった。
都道府県別では、3都府県で宿泊者数の下落率が前年比60%を超えた。最も減少したのは同63.9%減となった大阪府。東京も同62.3%減となり、インバウンド需要をつかんでいた地域ほど苦戦する結果になっている。
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