中国がインドに「大規模停電」仕掛けた事情 インドの電力を人質に取る中国のサイバー攻撃
中国政府は、インドの電力網に仕込まれたマルウェアに関するニューヨーク・タイムズの質問に答えなかったが、サイバー攻撃を最初に仕掛けたのはインドだと主張する可能性がある。
昨年2月には、インド政府の支援を受けた寄せ集めのハッカー集団が中国・武漢に新型コロナウイルス関連のフィッシング(詐欺)メールを送りつけていたことが発覚している。中国のセキュリティー会社「360セキュリティ・テクノロジー」は、これは武漢の病院や医学研究機関を狙ったスパイ活動だとして、インド政府が支援するハッカー集団を非難した。
5日に4万300件のハッキング
その4カ月後、中印国境で緊張が高まると、中国のハッカー集団はインドの技術・銀行インフラを標的に、わずか5日間で4万300件という大量のハッキングを試みた。
12月には、ハッキング活動を監視するインドの非営利団体「サイバーピース財団」のセキュリティー専門家が、中国による新たな攻撃の波を報告している。10月と11月のインドの祭日に関連してインド国民にフィッシングメールが送りつけられていた、というのだ。
調査員は、この攻撃を中国の広東省と河南省に登録されているドメインおよび「ファン・シャオ・チン」と呼ばれる組織に結びつけた。同財団によれば、おそらくは将来の攻撃に向けてインド国民が持つ電子機器に足がかりをつくることが目的だったとされる。
インドの軍事専門家はナレンドラ・モディ首相が率いる政府に対し、中国製の機器をインドの電力部門や重要な鉄道システムから排除するよう改めて呼びかけている。
インド政府は情報技術関連の契約見直しが進行中であり、ここには中国企業との契約も含まれるとしている。だが現実には、巨額の経費が必要となる既存インフラの入れ替えは難しい。
(執筆:David E. Sanger記者、Emily Schmall記者)
(C)2020 The New York Times News Services
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