「お父さんを殺して」4歳娘が背負った過酷人生 母から暴力、兄から性虐待を受けた経緯

✎ 1〜 ✎ 38 ✎ 39 ✎ 40 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

それはおそらく教えていた先生たちも、寧音さんと同じかそれ以上にうれしかったことでしょう。その後も「職員さんたちみんなが、私に勉強させよう、させようとしてくれた」おかげで、寧音さんは高校を出た後に大学に進学します。そして奨学金を7つ使い、かつバイトをかけもちして、最後まで通ったのでした。

「いま思うと、あの時期に家を出られてよかったなって思います。もしあれより遅かったら高校にも行けてなかったかもしれない。あのタイミングが本当に、最後のチャンスだったのかもしれないなって」

母と暮らすストレスに拍車をかけたコロナ禍の生活

大学に入り、施設を出てからは一人暮らしを満喫してきた寧音さんですが、現在は再び母親と2人で暮らしているといいます。新卒で就職した会社は人間関係が悪く、転職した際に貯金がつきてしまったため、お金が貯まるまでの間、母のもとに身を寄せたのです。しかしやはり、母との生活は非常にストレスが大きいようです。

「暴力はなくなったんですけれど、母は自分のしてほしいことを私にさせたい。だからたとえば、私が電気を消し忘れると『電気はちゃんと消してください』という貼り紙をしたり、『私はこうしてあげているけれど、あなたの態度は何?』みたいな長文の手紙が、家に帰ってくるとベッドの上に置かれていたりする。私はそれで眠れなくなったり、帰ってきても貼り紙が怖くて玄関を開けられなくなったりして」

貼り紙や手紙──地味ながらも、じわじわと心を削られそうです。母親に何度も「やめてほしい」と伝え続けたところ、貼り紙はやっとなくなったそうですが、最近はコロナの影響で、またストレスが増しているといいます。

「リモートワークになって母といる時間が増えたときはしんどかったです。1時間に1度くらい部屋をノックされて、『今、何をしているの?』とか聞かれて、そのたびに『仕事だよ』と答えるのが、嫌になっちゃって。それに母が入っている宗教への勧誘もしつこいし」

早く母親と離れたほうがよさそうですが、お金が貯まるまでは、もうしばらく辛抱しなければならなそうです。今後は、友達とシェアハウスで暮らすことも考えているといいます。

次ページ客観視してくれる友人
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事