日本人に知ってほしいサステナビリティの本質

小林いずみさんが指摘する日本の議論のズレ

須賀:社会課題と言われていても、一般化されにくい領域では、グローバルな動きがあまり生まれていませんよね。「気候変動」や「脱炭素」という問題を取り出して、それらの領域が固い投資先だとわかれば、新しいマーケットができ、企業や投資家が参入していくと思うのですが、「人権」や「倫理」といった領域に関しては、各々のマインドセットに依存しているのが現状です。ただ、小林さんのおっしゃるとおり、本来、これらの問題はすべてひと連なりの問題系であるはずです。

小林:残念ながら、それらの問題がひと連なりであるということは、あまり認知されていないと思います。例えば、菅政権が発表した「2050年のカーボンニュートラル」についても、それは経済性の問題から来ており、それ以外の問題については、目先の収益につながらないので、切り離されてしまっています。

しかし、国として、それぞれの社会問題の因果関係を明確にし、解決に向けて取り組んでいくことができれば、それぞれ異なる理由によって進展が阻まれているさまざまな活動が一連につながり、社会がより円滑になることで、経済的にも大きなメリットがもたらされます。

社会問題はひと連なり。それぞれの問題に取り組み社会がより円滑になれば、経済的にも大きなメリットがもたらされる(撮影:間部 百合)

それぞれの課題が分断してしまっていることが問題

須賀:それぞれの問題は、どのようにつないでいくことが可能なのでしょうか?

小林:分断したそれぞれの問題をつなぐ、しっかりとしたストーリーを語っていく必要があります。経済的にメリットがある領域にはお金がつきますし、政策にもなりますが、コストにしかならない部分に関しては、社会全体として享受できる利益の部分が語られず、それぞれの課題が分断してしまっていることが問題です。

現状では、「気候変動」の問題がプロフィット側にあり、「人権」などの問題はコスト側に分けられていると思いますが、コスト側にある問題に取り組むことが、どのようにプロフィットにつながるかということを繰り返し説明しなくてはならないと思います。

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