小林:アメリカの場合、企業行動に、ミレニアル世代の価値観が強く反映されています。彼らは、サステナビリティの問題にも非常に敏感で、投資ファンドもミレニアル世代からお金を集めようと思ったら、企業に対して行動変化を促していかなくてはなりません。投資家だけでなく、セクター間の垣根を超えながら、さまざまな角度から圧力をかけて、企業行動を変えていくことが必要になると思います。
須賀:そういったセクター間のコラボレーションに関して、日本は十分に進んでいる国なのでしょうか?
小林:いいえ。日本が、サステナビリティなどの地球規模の課題に対して、動きが遅い理由の1つは、セクター間、産業間の横断的なリーダーシップがないことだと思います。サステナビリティの問題は、1つの産業、セクターで完結することではなく、必ず、ほかの領域と連鎖します。日本は、そのようなコラボレーションが少ないからこそ、ダイナミックな動きが生まれません。
須賀:セクター間の分断がありますよね。先ほどから若者への期待についておっしゃっていますが、若い声を社会問題の解決のために反映させるためには、何が重要となりますか?
企業は意思決定に若い人を入れよ
小林:企業の場合、意思決定に若い人を入れることはとても重要です。そうしなければ、社内で、若者の目線から新しいアイディアや事業計画が出てきたとしても、決定する側にそのアイディアの価値がわからないということが起きてしまいます。さらに、意思決定に若い目線を入れなければ、10年、20年先の将来を見据えた企業の行動についても、判断することが難しいです。これは、「シルバー・デモクラシー」と言われるような政治の問題にも共通していることですが、未来のために、行動が取れる仕組み・体制を確立しなくてはなりません。
須賀:強くそう思います。日本の省庁でも、若い人にとっては耐えがたいUX(ユーザー体験)のサービスでも、トップ層にはその耐え難さがわからず、サービスが残っていってしまうことがあります。一方で、小林さんがお持ちの感覚の新しさというのはどこから来るものなのでしょうか?
小林:私自身も、若い世代に比べて遅れていることを日々感じています。ただ、長くアメリカの会社に勤めて、その後は、ワシントンで仕事をしていたので、日本社会や日本企業の関心事が、グローバルに比べて、どれだけ遅れているかということは、これまで強く実感してきました。日本は、ほとんどの話題で、およそ10年遅れています。それを感じ取ることができたので、日本に戻ってからも、海外組織のメンバーに入ったり、国際会議に出席したりすることで、意図的に情報収集するチャンネルをキープするようにしています。
須賀:なるほど。われわれの組織もそのように利用していただくのがベストだと思っています。本日はありがとうございました。
(制作協力:黒鳥社)
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