社長のいない株主総会、深まる任天堂の苦悩
環境変化に対応遅れ、経営内部の規律にも乱れ
6月27日、任天堂の株主総会が京都市内で行われた。しかしその場に、議長を務めるはずの社長、岩田聡(54)の姿はなかった。
「精密検査の結果、胆管に腫瘍が発見されました」。
総会の3日前である24日、任天堂は岩田が体調不良を理由に総会を欠席することを発表した。文面を通して岩田は「通常業務に復帰するまでには、しばらく時間を要する見込みです」とのメッセージを発信した。
2014年3月期に3期連続営業赤字へ沈んだ任天堂。株主からの厳しい質問が予想された総会で岩田の代わりに総会で議長を務めたのは、専務の竹田玄洋(65)だ。ただしいつも矢面に立っている岩田が不在のため、質問に対しては、複数の担当役員がそれぞれの考えを述べるスタイルを採らざるを得なかった。
スマホの活用策などに質問集中
質問内容で目立ったのは、スマートフォン(スマホ)ゲーム全盛の時代に、任天堂はどうやって業績不振から脱するかだ。
ある株主からの「子どもたちは家族のお下がりのスマホで無料ゲームを遊んでいる。iOSやアンドロイド、ブラウザゲームなどは無視できないが、任天堂はどの程度研究していて向き合っているのか」といった質問に対しては、取締役の高橋伸也(50)が「現在、スマートデバイス向けアプリを開発中で、そこから任天堂の娯楽の魅力をお伝えしたい」と回答。
さらに自社ソフト開発部門を束ねる専務の宮本茂(61)も、「当社の一番安かったゲーム機よりも安いスマホのお下がりというものに恐怖を感じているが、それが(ゲームの未来の)すべてになってしまうとは考えていない」と理解を求めた。
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