任天堂社長が説く、ヒットゲームの新法則 任天堂・岩田聡社長ロングインタビュー(上)
2012年3月期、13年3月期と2年連続で営業赤字を喫したゲーム業界の雄、任天堂。携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」本体や据置型ゲーム機「WiiU」本体の販売台数が当初の目標に届かなかったことなどから、「ゲーム専用機の時代は終わった」「スマホ向けにゲームを供給しない任天堂の時代は終わった」―――などと任天堂の危機をあおる、刺激的なタイトルの記事がマスコミの紙面を飾っている。
だが、今年上半期に海外で3DSを伸ばすとの任天堂の宣言どおり、たとえば米国では「ルイージマンション2」「ポケモン不思議のダンジョン」などのソフト発売を機に、存在感を増しつつある。また、WiiU向けにも7月発売の「ピクミン3」をはじめ「スーパーマリオ3Dワールド」「Wii Party U」などのソフトが連続投入される予定で、懸案のソフト不足も年末にかけ解消される見通しだ。
大きなアップダウンを経験してきた任天堂は何を考え、何を変えてきたのか。岩田聡社長はどう動くのか。東洋経済が、『週刊東洋経済』2013年8月3日号(7月29日発売)に掲載した岩田社長のインタビューのうち、誌面に載せきれなかった談話を全3回の短期集中連載で掲載する。
――消費の時間単位がどんどん細切れになってきているようです。人の行動が変わる中、ゲームはどう変わっていくのでしょうか。
世の中を流れる情報の量がどんどん増えているため、どんな人にとっても、より忙しくなる方向に動いていると思います。アクセス可能な情報が増えていくことで選択肢も増えていき、その中で自分が時間を使うのに値するものは何かということについて慎重に選んで行動する。娯楽、ビデオゲームだけが特別な影響を受けているわけではなく、あらゆる情報との接し方が変化しているのだと思います。
ただ、私は10年後のゲームがこうなって、20年後の未来がこう変わって、30年後はこうですと言い切るような予言者ではありません。どういう方向にお客様の行動が変わりつつあるとか、そういう中で娯楽屋である任天堂が何を考えているのかということしか申し上げられません。ゲームの未来を予言するという論調ではお話ししようがないことはご理解ください。
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