任天堂社長が説く、ヒットゲームの新法則 任天堂・岩田聡社長ロングインタビュー(上)

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――情報の洪水に埋もれないようにするには、情報をどのように発信していけばいいのでしょうか。

こうすれば成功するとわかっている方法なんてありません。もしあったとしても、ここでペラペラしゃべるわけにはいきませんよ(笑)。毎回、ヒットのパターンは違いますし、むしろ小さな兆しをどう大きく増幅できるかという時代に変わってきている。王道の法則はないんです。

ただ、最初に一定以上の存在として認知されないものは、そもそも社会で話題になりようがありません。初動でお客様に動いていただけるような事前プロモーションをしたうえで、お客様が(そのプロモーションの)どこに反応されているかを見極め、それがより広がるような仕組みを考える、ということしかない。

自分が体験したことをほかのひとと共有したいと思い、共有されたものをみたほかの人が心を動かすという仕組みが、ソフトに内在しているかどうかがすごく大事になってきている。「とびだせ どうぶつの森」がお客様の支持を受けた背景には、共感できる部分がうまく実現できていたのだと思います。共感されたお客様が「自分はこういうことをしているよ」と周囲に発信し、それにまた周囲が興味を持ち、「自分もやってみたい」と思い、という連鎖でお客様が増えていったことが大きいと思っています。

――共感がひとつのキーワードということでしょうか。

私は共感がキーワードになってから結構、時間が経っていると思っています。インターネットが広く普及したあと、メーカーが一方的に発信する広告的な情報を信じて行動することはなくなっている。自分が何か気になるものを見つけたら、ほかの人はどう思っているかをインターネットで調べ、その中で自分が共感できる要素があって初めて、もっと興味をもって行動する、という順番に変わっているのではないでしょうか。

昔はマス宣伝でテレビCMを大々的にやったら、たくさんの人が認知し、興味をもって、あとはお店に行って買うだけだった。今でも低額商品であれば、買って失敗してもあまり後悔は大きくないので、そういう売り方ができるかもしれない。

ですが、ゲームソフトやゲーム機はある程度、値が張るモノなので、それをご理解いただいて受け入れていただくというハードルも高い。多くの方がネットで評判を調べるので、そこで評価いただけなければどんなに宣伝をしても、まったくモノは動かない。そのようになって久しいので、共感してもらえないものは負け、とずっと思っています。

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