2月10日のヤクルトキャンプでは、内野の連携プレーの練習になったとたんスタンドで、球団スタッフが「サインプレーなので、取材をご遠慮ください」と声をかけて回った。
報道陣はぞろぞろとスタンドを出ていき、ブルペンに回った。折よく、古田敦也臨時コーチが期待の若手投手、奥川恭伸の球を受けていた。報道陣はこれに群がった。報道陣も全員、PCR検査の陰性証明を持っているが「密」が気になった。
選手、監督の囲み取材のインタビューも中止。インタビューをする際は基本的にZoomを使用したリモートとなった。記者たちはホテルの一室などでパソコンを開き、選手や監督とZoom越しでやり取りをした。「何のために現地に行っているのかわからない」とぼやく記者もいた。
田中将大復帰で盛り上がった楽天キャンプ
沖縄の春季キャンプ地で最も報道陣の数が多かったのは、金武町の楽天キャンプだった。1月末にヤンキースのエースだった田中将大が復帰を発表、2月6日から春季キャンプに合流したのだ。
今季のキャンプは1つのメディアについて取材できる人数が記者1人、カメラマン1人程度に限定されている。人数が多いということは、それだけメディアの数が多いということになる。
こうしたメディアは田中と一緒に移動する。ブルペンはもとより、ランニング、メイングラウンドのスタンドでのストレッチなど田中の一挙手一投足に多くのカメラが向けられた。金武町キャンプには三木谷浩史オーナーも姿を見せ、楽天キャンプだけは例年以上に盛り上がっていた印象だった。
巨人は医療法人と提携して、那覇市内にPCR検査を受けることができる「読売ジャイアンツ・スポーツ健康検査センター」を創設。4月30日まで、スポーツ関係者やキャンプ地のホテルやバス会社など関連産業の団体・法人などを対象に検査を実施している。これも地域貢献の一環だろう。
今年のキャンプのもう1つの変化は、外国人選手がほとんどいなかったことだ。2月15日時点で6割弱の選手が来ていない。多くの外国人選手の出身地であるアメリカやドミニカ共和国、キューバなどでもパンデミックは収まっていない。出国もままならない状況の選手もいる。また入国しても2週間の隔離があるため、キャンプには簡単に合流できない。
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