受け入れ先の久米島町商工観光課の担当者は「球団関係者、メディア、観光客が宿泊するホテル、レンタカーおよび飲食店は大きく売り上げを落としています。今回、楽天球団は当地におけるキャンプ実施を見送りましたが、これは、キャンプによるコロナ感染拡大を防ぐことに配慮したものと理解しています。観光業へのダメージはありますが、現在のコロナの状況、島の医療体制を考えると、致し方ないといった反応が大半です。今後はコロナ禍におけるキャンプのあり方について検討を重ね、引き続き、関係機関と協力し、再びキャンプができるよう取り組んでまいります」と回答した。
離島のキャンプ地は、練習環境としては恵まれているが、練習試合の相手がいないために、キャンプ中盤以降は沖縄本島に移動してしまう。その不便さがあるために、球団は本島への移転を志向しているといわれている。オリックスは1993年から2014年まで宮古島で春季キャンプを行っていた。イチローもここで始動したが、2015年に宮崎市に移転した。ロッテや楽天も今年をきっかけに移転するのではないかと島民は危惧している。
石垣市の商店主は「ロッテがキャンプをしてくれたおかげで、球場や周辺設備も整備され、子供たちが野球をするようになった。球団がいなくなれば、運動公園が廃れてしまうのではないか」と話した。
姿を消したプロ野球解説者
今年の春季キャンプでは、プロ野球解説者の姿をほとんど見なかった。特定の球団にはりついて動静を伝える新聞、テレビなどのメディアの記者やカメラマンとは異なり、解説者は各キャンプ地を回ってコメントをする。
しかし今年はすべてのキャンプ地で入場の際に、PCR検査の陰性証明の提示を求められる。来場時には48時間から数日以内の日付の証明書が必要だ。筆者もそうだがそのために3~4日おきにPCR検査をする必要があった。また解説者は球団関係者と会食をして意見交換をすることで情報を得るのが常だったが、それも不可能だった。そういうこともあって、解説者の姿がめっきり減ったのだ。
今季の報道陣は「撮れ高」を確保するのに苦慮している。例年であれば、記者やカメラマンはグラウンドレベルで取材ができた。
選手や監督、コーチに声をかけてコメントを取っていたが、今年は観客席と限られたエリアでしか取材できなくなった。そんな中で何とかして映像、コメントを取るために苦心惨憺していた。
本来ならグラウンド、サブグラウンド、ブルペン、室内練習場と取材場所はいくつもあるのだが、今年は多くのキャンプで1カ所しか取材ができなくなっていた。
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