第2のポイントは、「点を線にすること」である。自らのキャリアを振り返る中で、やりがいや成長を感じた場面を特定することはできるものの、それぞれが独立した「点」のままで、これからの未来を考える指針になっていないケースを多く見てきた。
振り返りにおいて大事なポイントは、自らの核となる要素を明確にしたうえで、その「点」を「線」でつなぎストーリーにしていくことである。スティーブ・ジョブズ的にいえば、まさに「Connecting The Dots」であり、キャリアという言葉の原義が「轍」であることを考えると、キャリアを点ではなく線で捉えることが重要である。
第3のポイントは、「線となったストーリーを他者に語り、自覚すること」である。「メンバーシップ型雇用」下では、自らのキャリアストーリーを語る習慣は乏しく、あったとしても、飲み会などでの上司の美談的な自慢話が関の山である。
十分に時間をかけて説明する機会を
近年では、社内研修において従業員同士で語り合う機会を設けたり、上司との1on1の面談でキャリアについて相談できる状況をつくったりする企業も増えてきたが、時間の短さや気恥ずかしさから、「自らのキャリアの自覚化」までいかずに終わってしまっているケースが多い。効果を高めるためには、前提の異なる他者に対して、十分な時間をかけて説明するような機会を設けることが重要だろう。
少子高齢化が不可避な日本企業において、「グローバル対応」「テクノロジー対応」、そして「ニューノーマル対応」といったテーマは重要な経営課題であり、必然的に「ジョブ型雇用」の検討・導入は避けて通ることのできない「現実」といえる。
「ジョブ型雇用」を変革のトリガーとして、実社会で働く従業員の「活きた」ストーリーが増え、その多くが若者に届くことは、日本全体のワークモチベーションを底上げに大きく意味を持つのではないだろうか。
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