半分リモート「ほどほどの働き方」は定着するか 「リモート疲れ」もいよいよ広がってきた

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ただ、現在では働き方改革などにより、管理職が時間管理を柔軟に対応するよう経営からも強く指導される時代になりました。そうした点では、フレックスを上司が邪魔する可能性は下がったかもしれません。だとすれば、残る問題はコミュニケーションの問題だけかもしれません。ではその問題をどうすればいいか。

ひとつの方法として各社が取り組んできたのが、コアタイムの設定です。コアタイムとは、1日のうちで必ず就業しなければならない時間帯のことです。多いのは、10時〜15時の範囲をコアタイムとする会社です。「この時間には必ず全社員がいる」という勤務時間があることで、ミーティングや面談、外出などの予定が立てやすくなり、「この会議にいなければならない人がいない」といった不都合を最小限に抑えられます。

それでも、すれ違いは生じます。すでに導入している人も増えていますが、お互いの業務時間がわかりやすいようネット上で予定を確認できるスケジューラーを導入するとスムーズでしょう。

社内ルールへの柔軟な対応が求められる

出社したら対面の仕事を優先して行う必要が生じます。取材したネット系企業の管理部門に勤務しているDさんは二度目の非常事態宣言前は、週の半分くらい出社していました。当然ながら残りは在宅でリモートワークとなります。すると、在宅の日には個人の作業を極力行い、出社したときには打ち合わせ会議など対面の仕事をスケジュールするようになり、会議室や打ち合わせのスペースを確保する必要が出てきました。

ところが、会議室の予約をしようにも予約がいっぱいで、部屋が足りません。頭を抱えてしまいました。

来客用の応接はコロナで来社が少なく空いているのに気づき、使わせてほしいと総務に頼んだのですが「ルールで社内用での使用は不可です」としゃくし定規に断られてしまいました。

仕方なく、外出して会社の近くのカフェに行ってみたら、同じように打ち合わせスペース難民の人であふれかえっていました。

Dさんは上司を通じて応接の活用を総務に提言しました。すると、同じような意見がたくさん集まっていました。働き方の変化を認識して、打ち合わせスペースを増やそうと、暫定的ながら応接の活用が承認されることになったのです。

少ないながらも貴重な対面の機会を有効に活用すること。それにはこうしたスペースの拡張をはじめ、さまざまな変革がまだまだ必要になりそうです。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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