半分リモート「ほどほどの働き方」は定着するか 「リモート疲れ」もいよいよ広がってきた

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そもそも、意外と混同している人もいるかもしれませんが、時差出勤とフレックスは似て非なる仕組みです。

会社が出勤時間を決めて、分散させる方式が時差出勤。「(A)8時出勤・17時退社」「(B)9時出勤・18時退社」「(C)10時出勤・19時退社」のような形で、出退勤のパターンを会社側が提示。勤務時間が変わらないのが特徴です。

一方、社員が決める方式がフレックス。期間内に決められた総勤務時間を働けば、どんなスケジュールで仕事をこなすかは社員の裁量次第。ただ、会社として会社に出社してほしい時間帯がある場合にはコアタイムを設定する対処が行われます。

これまで、幾度も両方の取り組みを導入するべし……との動きがありました。いわゆる、満員電車の解消や、女性活躍を進めるためといった理由です。ただ、会社としては同じ時間に出勤し、顔を合わせて仕事したほうが成果も上がると思い込んでいたので、導入を嫌がる経営陣や管理職が大半でした。

ところが、コロナで導入せざるをえない状況に陥りました。そのまま、現在に至る状態で、コロナ明けはどうするか? まず社員の評判は上々。満員電車に乗らなくていいだけでもストレスが減ります。加えて育児対応を支援するためにはフレックスは効果的。子どもの送り迎えを行うために朝夕の勤務時間が変えられると助かるのは間違いありません。

さらに社員に業務効率化の意識が高まる、採用力の向上が期待できます。取材した通信系企業はフレックスを導入。しかもコアタイムを設定せず、自由裁量で働き方を決められるようにしたことで離職者が減少。採用での競争力も高まったとのことでした。コロナ明けもこれを継続する、つまり時差出勤とフレックスの導入を進める会社が増えるのではないでしょうか。

リモートワークのさまざまな課題

ただ、これまで導入が進まなかった理由が解消されたわけではありません。導入してみて、デメリットが大きいと気づいて廃止した会社もたくさんあります。

その大きな要因がコミュニケーションのロスです。フレックスだと職場で一緒に仕事する時間は重なりにくくなります。例えば、子どもの保育園への送り迎えを夫婦で行っているSさんは、午後出勤や早朝出勤にしています。満員電車を避けて午後遅くに出勤してくる同僚と対面の打ち合わせをしたいと思っても、調整に一苦労です。スケジュールがお互いに空いていて、オフィスにいる時間帯をみつけるのが簡単ではありませんでした。

あるいは同じ部門で会議を設定したいけど、社員の出社時間が流動的なので定例化が難しい。こうなると、緊急事態宣言中にリモートワークをしていたときと大差ない状態になってしまいます。

そもそも、コロナ前に導入して、廃止した会社がたくさんあります。上記に加えて、大きな要因となったのが先ほども少しふれたとおり、上司のスタンスだったかもしれません。

取材した広告代理店では2000年初頭にフレックスを導入。人事部から活用を組織するための通達も行われました。ところが、上司が活用しなかったのです。これまでと同じように9時から17時に勤務するスタイルを変えない。となれば、10時出社や16時退社するときに上司の目が気になります。「遅い」とか「何で早く帰るんだ」とは言わなくても、周囲が忖度(そんたく)してしまい誰も活用できない。

こうして、あまりに浸透しないのでフレックス廃止……と判断した会社が多かったように思います。まさにマネジメントの問題です。

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