島忠が目論む「動物保護活動新時代」の幕開け 「ステイホーム」でペット人気が高まっている

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梅田氏は小学生の頃から「保健所などに送られる猫を助ける仕事がしたい」という目標をもち、会社員時代は休日を保護猫ボランティアに費やしていた。

2011年、東日本大震災における動物レスキューにボランティアで参加。

しかし、収容するための人手も場所も不足し「助けたくても助けられない」という悲しさ、悔しさを噛みしめた。このことをきっかけとし、保護すべき猫をゼロにすることを目標に、2013年、保護猫カフェである「ねこかつ」を始めた。

団体名には、猫の保護活動を「婚活」「就活」のように当たり前のこととしたい、という思いが込められている。

島忠と連携するようになったきっかけは、島忠側から保護猫譲渡会の依頼があったことだそうだ。

「いろいろな施設にご協力いただいて譲渡会を行ってきました。動物愛護に関する施設側の熱意や取り組みはそれぞれ異なりますが、その中でも島忠さんは一貫して続けてこられていて、しかも年を追うごとに、熱意が強くなっていった感じがしています」(梅田氏)

2017年当時窓口になっていた1人の担当者の思いが社内に広がっていったことを感じたという。

「社員の方による動物愛護センターの視察も不定期に行っており、私も3回ほど立ち会っています。つまり、殺処分を待っている動物たちがいる現場ということです。私たち保護活動家はかわいそうで見られないんです。でも、島忠の社員さんは『実際に見ないといけない』という覚悟を持っていらっしゃるようですね」(梅田氏)

なお島忠ではこうした活動のほか、2019年には海外の現地調査も実施。社員を派遣し、アメリカの動物愛護活動に取り組んでいる企業を視察した。一般的に、動物保護の法制度や体制に関しては欧米のほうが先進的であるとされている。

コロナ禍でのペットブームとこれから

最後に、島忠、ねこかつ両者にコロナ禍でのペットブームについても聞いてみた。ペットを受け入れたものの、実際には飼えなくなるケースも出ているのでは、と考えたためだ。

「緊急事態宣言下では、HC(ホームセンター)の売り上げ同様、ペットの生体販売やペット用品の売り上げは伸長しておりました。また保健所への問い合わせが増えたということは耳にしました。都内近郊は保護団体が活発なのですが、地方に行くほど団体が少なくなるし、動物保護に対する意識も遅れているように感じます。自粛期間(筆者注:2020年4〜5月の緊急事態宣言期間)はまた保護団体も譲渡などの活動ができなくなりましたし……。近県での動物愛護センターが犬や猫で満杯になった、という話です」(君島氏)

一方、ねこかつでは里親を希望する家庭の面接をし、飼うのが難しいと判断した場合は譲渡を断る場合もある。そのため飼い続けられない、という相談は入っていないそうだ。

今は改定動物愛護法のもと、動物を捨てることは犯罪として禁じられている。また動物保護団体はねこかつのように、飼い主の家庭環境を見極めたうえで譲渡するところがほとんどだ。愛護動物を巡っては、人の意識も社会制度も、一昔前とはずいぶん変わってきているのだろう。

コロナ禍など社会の変化があったとしても、この流れを中断させるようなことがあってはならない。企業の保護活動についても、その火が絶えることのないよう、消費者自身も手を携えて守っていかねばならないだろう。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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