島忠が目論む「動物保護活動新時代」の幕開け

「ステイホーム」でペット人気が高まっている

そして、2020年7月の一部店舗における展示販売廃止はさらに2歩も3歩も先へ行く取り組みだ。同店舗では生体の陳列販売を廃止し、店頭でブリーダーとのマッチングを提案する。

このことについて、同じくセールスインキュベーション部の君島雄貴氏は次のように説明する。

「動物と飼い主が正しく出会う場の選択肢を増やしたいという思いがありました。ブリーダーがわが子のように手塩にかけて育てた動物たちを新しい家族に引き合わせる。命を大量生産して陳列するのではなく、地域のお客様と新しい家族のマッチングの場となるような場所にしたいです」(君島氏)

展示販売用のケージは譲渡会の際、動物を収容するのに使われるほか、ふだんは里親を探している動物たちの情報を掲示(筆者撮影)

また、ペットショップにとってもメリットがある、と君島氏は説明する。

「地域に飼い主が増えれば、動物病院よりはもう少し身近な相談所が必要になるはずです。現に、コロナ禍では病院が休みになったり、受け入れ制限があったりで、ペットショップに相談に来られた飼い主さんも増えたんですね。また療法食といったプロ用の商品の品揃えや、ケアなどのサービスも含めた、ペットに関する知識に裏付けられたより細やかな接客が求められるようになると考えます」(君島氏)

ペットショップ側でも、展示販売といってもただ並べて売っているだけではない。動物の世話をしたり健康を維持する、いわば動物園で言う「バックヤード」の部分が存在する。そのバックヤード機能を前面に出し、より付加価値の高いサービスへと進化させていくということだろう。

島忠の活動は「エポックメイキングな取り組み」

島忠の今回の取り組みには、ブリーダーの選別という利点もあるそうだ。ブリーダーの中には悪質な業者もあり、十分なスペースがない環境で飼ったり、動物の健康に配慮せず無理な繁殖をさせるところもあるという。

今は全国60店舗のうち2店舗で実験的に始めた取り組みだが、SNSなどでも消費者からポジティブな反響を受けており、広げていくことを願っているそうだ。

こうした島忠の活動について、保護猫団体にも話を聞いた。同社に2017年から協力している川越市の団体「ねこかつ」だ。

「島忠さんはわれわれにとっては希望の光です。島忠さんで譲渡会を開催していただいていることは、世の中をガラッと変える、エポックメイキングな取り組みだと思いますよ」(ねこかつ代表の梅田達也氏)

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