島忠が目論む「動物保護活動新時代」の幕開け 「ステイホーム」でペット人気が高まっている
「当社での保護動物譲渡会などの取り組みは2017年からです。活動を行うなかで、社会の変化につれ、取り組みを応援するリアルなお客様の声がSNSなどを通じて寄せられるようになりました。もとは1人の社員の熱意から始まったことですが、社内でも意識が変わってきました。今、保護動物が家族としての新しい選択肢として当たり前になろうとしている。そうした大きな潮流を感じています」(重田氏)
同社ではさいたま市ほか都内近郊18店舗(2021年2月現在は実施店舗が増え、28店舗)で保護猫譲渡会を行うほか、「犬猫フード募金」として、犬猫フードの売り上げの一部を保護動物団体に寄付している。
譲渡会については、コロナによりイベント等が中止されていた状況下でも、「流れを止めてはいけない」という思いから、コロナウイルスの感染対策を講じ、6月末から開始していたそうだ。
2回目の宣言が発令されている現時点でも、「イベントではなく、保護動物を救うための社会貢献事業」(同社ホームページより)としての位置づけであるため、一部店舗を除いて、感染症対策に一層の留意をしながら継続させている。
動物との共生社会…譲渡会を行う意義
同社の立場の難しさが、ペットやペットグッズでビジネスを行っている企業であるいっぽうで、保護動物活動に取り組んでいるところである。皮相的な見方をすれば、保護猫などを里親に譲渡する譲渡会は、ペットショップにとっては競争相手になるともいえる。
しかし同社は、「動物との共生社会」という、より大きな目標に向けて、取り組みを進めていこうとしている。
まず、譲渡会に関しては、全店舗中のペットショップのない店舗に限り行うこととしている。
また譲渡会には、地域における動物愛護活動や、保護猫活動にまつわる意識啓発という面もあるという。今はずいぶん意識が高まっているものの、昔は飼えなくなった動物を無責任に誰かにあげたり、捨てたりするのは当たり前に行われていた。こうしたことも結果的に行き場のない猫や、不幸な猫を増やす原因になる。
「まず地域地域で、意識を高めていく必要があります。その点で、店舗での譲渡会がお客様にとっては気づきの機会になると考えています」(重田氏)
もちろん、譲渡会で里親になってくれる家庭が増える利点も大きい。地域にとってはいわゆる「野良猫」が減り、活動団体にとってはレスキューする猫が減るから助かる。そしてペットを飼う家庭ではペットフードやグッズが必要になるが、島忠ではペットフードについては売上金の一部が募金になるので、保護活動と地域の間でお金が循環する仕組みができあがる。
島忠という企業、保護団体、地域や飼い主という3者が連携しながら、共生社会へ向けて取り組みを継続させていくイメージだ。
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