オンライン授業は「より面白く」が必須の理由 リクルート出身教育委員会トップ語る学校の今
平川:大変な危機の中で、私がよかったと思ったのは、ある意味チャンスが生まれたことです。というのは、コロナで学校が長期間休みになったとき、授業時数の確保にいたずらに拘泥せず、オンラインや家庭学習などで習得した力を見取っていこうという考え方や、履修主義から新習得主義へと転換する視点が生じたのです。
例えば高校生なら、大学受験をする子、就職をする子がいて、それぞれ、今なすべきこと、必要なことが異なります。受験する子は学校に来て勉強して、就職する子は自宅で職種や企業について調べて、オンラインで先生と相談する、そういうことが同時並行的にあっていい。私がずっと言ってきた「教育のチョイス」です。個々に最適化された学び、アダプティブな学びができる時代になるきっかけになるのではないかと思いました。
2020年に生まれた子が「15歳になる頃」の学校を想像せよ
ピョートル:一方で、学校に対してある程度のストラクチャー、「成功のパターン」などを求める意見もありますよね。
平川:それは、自分がレールに乗っているという安心感を得たいためでしょう。でも、複線型などさまざまな選択肢が出てきている人生100年時代には、レールに乗った安心というものはもうありません。レールに乗った安心は、図らずも新型コロナウイルスによって破壊されたといってもいい。
コロナの危機の間、私が言ってきたのは、「2020年に生まれた子が15歳になる2035年にどういう学校になっているといいか。そのことを思い描くように」ということです。目の前で起きていることに対応しているだけでは、もぐらたたきになってしまいますが、長いスパンで考えることで、より根本的な課題に対処し、大きな理想を実現することができます。
2035年にはデジタル環境は当たり前になって、時間と空間の制約がなくなるでしょう。地理的な制約のある地方での学習も解消されるかもしれないし、自分の興味のあることを自分に必要なタイミングで学ぶという状況も当たり前になっているかもしれません。
オンライン授業になって、必ずしも全員が一斉に学校に登校しなくてもいいとなったら、「不登校」という言葉もなくなります。今、学校のあり方そのものがガラリと変わるチャンスなのです。
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