オンライン授業は「より面白く」が必須の理由 リクルート出身教育委員会トップ語る学校の今

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平川:インターネットがなかった時代は、例えば、男の子によくあるような「虫」や「恐竜」「電車」といったマイブームは、ゆっくり移行していました。ところが、今は全部ネットで調べられるので、深掘りする子と、すぐに次のマイブームに移る子と二手に分かれます。何かに詳しい子はさらにどんどん詳しくなる。

今やインターネットがもたらす情報の量、バリエーションは、学校のそれを大きく凌駕していて、大学や研究者レベルの知的コンテンツに誰もが自由にアクセス可能です。子どもたちはその環境をごくごく自然に受け入れ、そこで成長しています。

これからの日本を背負っていく子どもたちが、もしつまらない授業を受けて不登校になって自信をなくすくらいなら、学校に行かずに自分で探究したほうが、まだ自己肯定感を失わずに済むとさえ私は思っています。

学校には新しいレゾン・デートル(存在理由)が必要になっているのです。皆がわかっていても今まで変えることができなかったものに、今がチャンスと捉えて取り組むべきです。

本質的な問いのできる教員を育てる

ピョートル:具体的に、教育はどう変わっていくべきでしょうか。

平川:これからの教育で大事なのは、「learn to learn =学ぶことを学ぶ」ということです。それは、「宿題をこなす」といった労働的なイメージではありません。そのために、まず変わらないといけないのは教員です。いかに面白い授業をするか。それは本質的な問い、エッセンシャル・クエスチョンができるかにかかっています。

先生たちが、教科書に載っているような知識や記憶ベースの質問しかできないのは由々しき問題です。「雲はなぜできるのか」という質問しかできなかったら、授業は広がらないじゃないですか。

例えば、産業革命について教えるとき、富岡製糸場などの写真を見せたり、イギリスから始まって蒸気機関車ができて……という時系列の知識を注入したりしているだけでは、子どもたち自身に考えさせることはできません。それを、身近な機械に注目して、その機械が現れる前と後でタイムラインがどう変わったか示しなさいという授業にしたらどうでしょう? 

例えばミシンだったら、以前は洋服をちくちく縫っていたのが、ミシンができたことで大量生産が可能になり、それによってファッショントレンドが生まれ、モデルやファッション雑誌が登場する。こんなふうに子ども自身が考えるのではないでしょうか。そうやって考えることが将来の役に立つ。このように設問の仕方で授業が変わるのです。

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