日豪米の協力強化が一段と求められている事情 豪州ダーウィンから見た安全保障とエネルギー

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日本にはどんな立ち位置が求められているのか(写真:くろまろ、M・O、Ryosuke Nagaiwa/PIXTA)
米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。
独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

ダーウィンと海兵隊基地

6つの州と1つの準州、首都がある特別地域から成り立つオーストラリア。その準州は北部にある。州都ダーウィンは人口15万人ほどの小さな町だが、アメリカ海兵隊の基地があり、日本企業が関係する2つのLNG(液化天然ガス)液化基地も所在する。

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ダーウィンは戦略的に重要だ。日本軍が1942年に空襲、240人以上が亡くなった。近年、中国が南シナ海の軍事化を進める中で、再びその戦略的重要性が増している。2011年11月、オバマ大統領の訪豪時にギラード首相(労働党)は「戦略態勢イニシアティブ」に合意、ダーウィンへのアメリカ海兵隊のローテーションを発表した。

オーストラリアは、2度の世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク戦争などアメリカの主要な戦争を共に戦ったパートナーだが、アメリカはオーストラリアにさらなる期待を寄せる。バイデン政権で国家安全保障会議のインド太平洋調整官に就任したカート・キャンベル氏は『The Pivot』(2016年)において、アジア重視を唱えるとともに、アジアにおけるアメリカ軍の展開に関して、次の2点を指摘している。

(1)ソ連と対峙した冷戦の名残で戦力が北に偏っている
(2)中国のミサイル能力の増強により在日アメリカ軍にはリスクがある

北東アジアでのアメリカ軍のプレゼンスを維持しつつ、戦力の南への分散が必要で、海兵隊のダーウィン展開はその一歩と説明する。オーストラリアの好ましい立地、長い海岸線、戦略的縦深性などを挙げたうえで、海軍基地を含めオーストラリアはさらに役割を果たせると期待する。2020年7月の米豪外交防衛担当閣僚協議(2+2)では、「米豪戦力態勢ワーキンググループ」の設置が合意された。

オーストラリアは経済的には中国とのつながりが深く、現在は輸出の約40%が中国向けだ。ギラード首相は2013年4月の訪中時に「豪中戦略的パートナーシップ」に合意。対中配慮から検討されていたアメリカ空軍爆撃機のオーストラリア展開を躊躇したと言われている。

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