日本も無関係じゃない「中豪関係悪化」の波紋 「相互依存の罠」から抜け出すために必要な知恵

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日豪パートナーシップと中国の「相互依存の罠」に迫る(写真:barks/PIXTA)
米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。
独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

仏独関係に比類しうる日豪関係

ブレグジットで揺れる欧州だが、これまでの地域統合の深化が仏独のパートナーシップに拠ることはよく知られている。2度の世界大戦で敵国として戦い、多くの犠牲者を出した仏独は、欧州の恒久平和という長期的ビジョンを共有し、欧州統合をパートナーとして導いてきた。

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では日本が位置するアジア太平洋はどうだろうか。地域統合の歴史も浅く、深化も劣る同地域だが、欧州の仏独パートナーシップに比類しうるのは、同様に戦火を交えながらもFTA(自由貿易協定)や防衛協定を締結し、「特別な戦略的パートナーシップ」と称されるまで深い関係を構築するに至った日本とオーストラリアのそれである。

古くはアジア太平洋圏構想の三木武夫(佐藤2次内閣外相)や、環太平洋連帯構想の大平正芳首相がその構想推進において連携相手としてオーストラリアを選び、1989年に設立されたAPEC(アジア太平洋経済協力)も、日豪が緊密に情報のやり取りをしながら設立に向けて共闘している。

東ティモール独立問題などASEAN諸国との関係維持に苦慮したハワード保守政権(1996〜2007年)の時には、小泉・安倍(1期目)政権がASEANプラス6という「拡大」東アジア地域概念を創造、オーストラリアを東アジアの国として参画させる礎を築き、現在も続くEAS(東アジアサミット)やRCEP(地域的な包括的経済連携)での両国の連携を可能にしている。

最近ではアメリカ・トランプ政権が脱退したTPP(環太平洋パートナーシップ協定)を日本が外交努力でCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)として復活させる際、オーストラリアは一貫してその姿勢を支え続けた。民主主義や法の支配などの価値観を重視、貿易補完性を持ち、同盟国として強固な対米関係を維持し、そしてアジアの安定と繁栄に最大の外交的利益を見いだす日本にとって、これらをすべて共有する国はオーストラリアしかなく、半世紀にもわたる両国のパートナーシップがなければ、域内の安定と繁栄を目指した今日のアジア太平洋地域アーキテクチャーの進展は果たしえなかったであろう。

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