王室離脱する「ヘンリー王子夫妻」を待つ茨の道 「サセックスロイヤル」のブランドは使えるか

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
イギリス王室から“離脱”することになったメーガン妃とヘンリー王子の先行きはどうなるのか(写真:REUTERS/Toby Melville)

結局、パートタイムの王族などありえなかった。

ヘンリー王子と妻のメーガン妃に向けてバッキンガム宮殿が18日に発表した合意は、イギリス王室でも人気が高い2人が不満を抱いて王室を離れるにあたって、非常にきっぱりと「決別」したという点が最も注目に値する。これはヘンリー王子夫妻が予想したよりはるかに厳しい結果となった。

イギリスメディアは、王室と2人の亀裂をイギリスのEU離脱、ブレグジットになぞらえている。19日、ボリス・ジョンソン首相が今年実現するよう期待されるEUとの妥協なき貿易取引「ハード・ブレグジット(合意なき離脱)」に相当するかのような合意条件だとこぞって伝えている。

王室は中途半端な合意を避けたかった

ヘンリー王子夫妻が王室の公務から「退く」計画を突然発表したとき、夫妻が期待を込めて述べた「王室の中で進歩的な新しい役割」を切り開くことは到底できなかった。ヘンリー王子とメーガン妃は、カナダとアメリカでの不安定な未来のために、王族としてのフルタイムの立場を返上しイギリスを見捨てれば、王族としての特権および手当のほとんどを失う。

合意内容によれば、一部の王族にのみ許されている「殿下・妃殿下」という敬称の使用をやめ、活動に対する公的資金も放棄する。また、ウィンザー城の敷地内にあるフロッグモア・コテージの改修費300万ドル以上(約3億3000万円)を返済する。

こうした折り合いは避けられない、と専門家は話す。「合意に至ったこの条件は絶対的に正しい」と、王室の伝記作家ペニー・ジュナー氏は語る。「王室は、実践できない中途半端な合意内容を避けようとしたのだ」。

しかし、発表された条件は、ヘンリー王子とメーガン妃が王室のバルコニーに再び登場するかどうかなどの難解な問題に加え、王室離脱における税務上の問題や警備費の支払いなど、未解決の問題を多数残した。

ヘンリー王子は19日の夜に初めて自らの決定について公式に発言した。慈善団体の募金活動の場で、無念さを口調ににじませながらも決意を表明し、2人は公的資金なしで王族としての義務の一部を継続することを希望していたと述べた。しかし、それはかなわなかった。

「こういう結果になって大変悲しい」とヘンリー王子は語った。「妻と自分が公務から退くというのは軽い決断ではなかった。何カ月も話し合いを重ね、何年にもわたって苦闘してきた」。

次ページ「サセックスロイヤル」が使えなくなると大変
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事