「東大合格請負人」が見た"共通テスト"の超本質 各教科の出題内容から「変化の意味」を読み解く

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今回がたまたま難しかったのか、というと、筆者はそうではないと思います。一度出題されてしまえば、今後も同程度の出題がある可能性は十分ありますので、楽観的にとらえるのは大変危険です。

理科や社会においても、明らかに変化がありました。センター試験と似た内容もありましたが、全体を通して情報量が増え、会話やプレゼン資料など複数の情報から必要なものを取り出していく力が求められていました。センター試験であれば試験時間の15分前には解き終えられたレベルの生徒が、時間ギリギリで解き終えるほど読み取りに苦しんだようです。

「3つの常識」の変化への対応力で差がついた

ここまでで、ずいぶん試験内容が変化したことはわかっていただけたと思いますが、実際には、こうした変化に柔軟に対応できた子と、苦戦した子がいました。

筆者は今回、大きく分けて「3つの常識」が変化し、その対応力で差がついたのではないかと考えています。過去の3つの常識とは以下になります。

1つ目の常識「模試でよい点をとれば本番でもうまくいく」
2つ目の常識「合格者数が多い学校や塾・予備校にいれておけばうまくいく」
3つ目の常識「本や新聞を読めば読解力が身に付く」

まずは1つ目の常識、「模試でよい点をとれば本番でもうまくいく」についてです。

今までであれば、模試でよい点をとれれば、本番でもある程度うまくいっていました。しかし、予備校で実施された直前の模試で85%以上の点数を出していた子が、今回の共通テストで60%しか得点できなかったという話をたくさん耳にしました。なぜこのような事態が起こったのかというと、実は、予備校の模試は「試行調査の形式」を完全にマネした内容だったからでした。

つまり、「予想外の問題が出てしまったら、対応できなくなるテスト」だったのです。

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