銀座や有楽町といったオフィス街に隣接する場所の状況はいっそう厳しい。銀座に至っては深夜帯のタクシー利用が減ったどころか、この地を訪れるタクシーの絶対数自体が激減しているように感じた。
知人の銀座ママいわく、少しでも家賃の足しにするため、昼間はお客様のテレワークスペースとして貸し出しする店もあるそうだ。
また「気を遣って顔だけ出してボトルを入れて帰ってくれる方もいますが、皆さん短時間の滞在でハイヤーを利用して帰られていく」と話す。
丸の内や日本橋、大手町でも、昼間はまだタクシーの動きがあるが、20時以降は「このあたりを走るタクシーが通常の半分くらいになっている」(先出の新橋ドライバー)。
企業側も在宅ワークのノウハウができた?
前回の緊急事態宣言で、伸びたとされるのがハイヤー乗車の売り上げだ。赤坂見附のタクシー乗り場では、有名企業の元役員という経歴を持つドライバーの赤松さん(仮名・50代)に遭遇した。
赤松さんは社内の派閥争いに破れ、一掃される形で社を追い出されたことで心を壊したという。現在は港区の会社の狙いを絞り、リハビリも兼ねてタクシードライバーをしている。
「前回の緊急事態宣言は企業側も手探りで、ハイヤーが使えない部長、課長クラスの方に出勤などでタクシーを利用してもらえるケースがかなり多かった。それは医療や役所、政界でも似たような状況でした。
それが、今回は企業側も在宅ワークのノウハウができたのか、そういった利用が減りました。霞が関周辺やIT企業などごく一部の利用者層はいますが、このあたりも前回よりお寒い事情なのは間違いないでしょう」
23区外に目を向けると、2度目の緊急事態宣言だからこそ起きている状況も聞こえてくる。吉祥寺で乗った際のドライバーはこんなことを話した。
「前回は少しの買い物や通院でも、タクシー利用をする高齢者の方がぽつぽついました。ところが、今回はそういった利用がほとんど見られないんです。利用者もコロナに慣れてきたのか、明らかに普段使いの利用が減っています。今だと30代~50代くらいの層の利用が一番多いですね。
夜はまったく動かず、無線が入らなければ売り上げはゼロに近い。今月の給料は、最低保障分のみでしょうね。東京で月15~16万で暮らすのはツラいですが、会社が保障してくれるだけまだマシだと思っています」
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