ギリシャ財政危機が開いたパンドラの箱
3月25日、財政危機に陥ったギリシャを支援する枠組みが、EU首脳会談で合意された。
合意内容は次のようなものだ。
ユーロ加盟国が金融市場で資金調達ができなくなった場合、「最後の手段」として、ユーロ圏とIMF(国際通貨基金)から融資を行う。
メインはユーロ圏の2国間融資で、IMFからの融資は補完的な位置づけ。2国間融資は、ユーロ加盟国16カ国の全会一致の決定により、欧州委員会とECB(欧州中央銀行)の監視に基づき、厳しい条件の下で行われる。その際の融資金利はユーロの平均金利ではなく、リスクに見合ったもので、補助はないというもの。
フランスのサルコジ大統領は、IMFの関与を避けたかったが、ドイツのメルケル首相が、IMFとの協調を主張し、折れざるをえなかった。
ただ、支援発動の要件も融資条件も厳しい。それを嫌気してか、3月29日のギリシャの7年物起債ではドイツ国債に対し3%以上ものスプレッドが上乗せされた。4月~5月の150億ユーロの借り換えも厳しいかもしれない。
財政規律に耐えられず再燃も
本来、IMFは加盟国が外貨不足で支払い不能に陥るケースで融資を行う。EUは域内で問題を解決すべきだった。補完的な位置づけとはいえ、IMFの関与を認めざるをえなかったことは、市場は単一でも主権はバラバラであることの矛盾を世界に露呈した形となった。
マーストリヒト条約にはノーベイルアウト条項(財政規律が緩むことを防ぐために、債務危機に陥った国を加盟国は救わないとする)があるため、実際に支援するとなれば、2国間の契約とならざるをえず、最も体力のあるドイツが最大の負担を求められることになる。