その男、凶暴につき ヤバイ日本建設大綱<上> 猪子寿之・チームラボ社長に聞く
何が驚いたといって、出迎えてくれた広報担当氏は、映画『アバター』、あのナディ族ばりの見事な弁髪だった。聞けば、前職はスウェーデンでゲーム雑誌の編集長。スウェーデン語もままならないのに(当人はもちろん日本人)、3年半、勤め通し、つい2カ月前にチームラボに。おいおい、この会社、2カ月の新人に広報を任せるのかい。
そして、ちょっと遅れて登場した主人公、猪子寿之である。190センチメートルに近い偉丈夫。それこそ、ナディ族の戦士のように、目に力がある。と思ったら、「お昼、食べられました?」。もちろん。「食べながらで、いいですか」。どうぞどうぞ。コンビニ弁当が開かれた。不思議な“柔らか”オーラが発散し、瞬間的にこちらが武装解除されてしまった。
グーグルの向こうを張る産経「iza」の革命
世界的なコンサルタント会社、タワーズワトソン(ワトソンワイアットとタワーズペリンが合併)の日本法人代表、淡輪(たんなわ)敬三にとって猪子は、「最初からヘンタイ」だった。
淡輪は若手のベンチャー経営者たちと勉強会兼飲み会の「ヘンタイ会」を主宰している。ヘンタイと言われるくらいでなければ、世界にインパクトを与える経営者にはなれない。それが、会の名前の由来だが、当初からのメンバー、若林龍成(ビービット副社長、京大講師)が「それでは飛び切りのヘンタイを連れてきます」。現れたのが、猪子である。
猪子とチームラボはフツーではない。一つ。2006年、グーグルの向こうを張って、検索エンジン「サグール」を開発した。すでにグーグルの絶対優位が確立し、検索エンジンの開発会社が日本から消え果てていた。だが、検索エンジンは文字どおり情報化社会のエンジンである。
「それって、自動車産業で国が食べていこうというときに、内燃機関が作れないのと同じ。そんな国、ヤバイじゃないですか。とにかく、やろう。白虎隊です、白虎隊」
開発するなら、オリジナリティを出したい。マイクロソフトのエンジンもヤフーも、グーグルに引っ張られ、リンクが多い順にページランキングが上位に来る設計である。
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