人目が気になる「男性用リップ」のあの手この手 Zoom会議などでリップの使用が広がる可能性も

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唇に塗られるのはケアアイテムだけではない。最近では男性向けアイテムのみならず、ジェンダーレス/ジェンダーニュートラルで多様な人をターゲットにした化粧品が登場している。韓国から上陸した「ラカ(LAKA)」や、昨年日本で誕生した「アイロ(iLLO)」はカラーコスメを販売し、ビジュアルには男性も起用する。

「アイロ」を販売するコティスエルトの矢野亜也那CEOは、ジェンダーニュートラルというコンセプトについて「美容に気を遣う男性が増える中で、メイクに挑戦したい、取り入れてみたいと考える方も増えてきた。しかしブランド選択の難しさや『女性向けブランドの購入は気が引ける』との意見も多く、メイクに性別は関係ないとブランドから発信することで、メイクアップに対するハードルが少しでも下がればいいなと考えた」と話す。

ターゲットは美容意識や感度の高いジェネレーションZ世代だが、実際のユーザー層は20代後半もおり、初めてメイクするという男性客からの購入も多いという。

心理的ハードルを下げていく

「アイロ」が販売する「ラスティング スムースリップスティック」はセミマットな質感で、自然な発色に仕上げる口紅だ。自然とはいえ、カラー付きリップバームと比べればしっかりと色がつく。

そのためユーザーの中には、ベースメイクやアイブロウなどの基本的なアイテムと比べてハードルが高いと感じ、素の唇を自然に整えるアイテムや薄づきのカラーから取り入れたいとの意見も寄せられるという。

しかし実際にタッチアップした男性たちは、「『たったこれだけでここまで自然に変わるんだ』『色付きのリップを初めて使ったが、こんなに使いやすいとは思わなかった』と驚いていた」という。心理的なハードルはあるものの、色を塗ることでポジティブな発見も多いようだ。

男性用リップは人目がどうしても気になってしまうという課題感もある一方で、最近ではZoomなどを通じ、鏡以外でも自身の顔を見る機会が増え、顔の印象を気にする人も増えている。リモートワークも追い風に、パッと顔の雰囲気を変えられるリップアイテムは今後普及していくか。

臼井 杏奈 美容業界ライター

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うすい あんな / Anna Usui

青山学院大卒後、産経新聞社に入社しスポーツ記者に。その後INFASパブリケーションズに入社し、WWDJAPANを経てWWD BEAUTYに所属。美容業界記者として外資系ブランド担当およびビューティーテック、アジア市場、スタートアップ、新興市場などを担当。現在はフリーランスとして活動。

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