リベラルとは「自由にしゃべれる」ことだ 湯浅誠×加藤紘一 リベラル対談(後編)

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安倍首相はなぜ「理念の保守」なのか

加藤:今、国民の声は議員を通して議会に反映させるということになっているけれど、国会議員もあんまり勉強してないし、有権者の声も拾ってないしね。

湯浅:地域の声を丁寧に拾うということを、今はかつてほど十分にやれていないから、もう少し一人ひとり、みんながそれぞれ声を出していく必要がある。

加藤:そうですね。

加藤紘一(かとう・こういち)
前衆議院議員
1939年山形県生まれ。東京大学法学部卒業後、1964年外務省に入省。台北大使館、ワシントン大使館勤務を経て、ハーバード大学で修士号を取得。1972年、総選挙に出馬し初当選。内閣官房長官(宮澤内閣)、自民党幹事長などを歴任。日中友好協会会長も務める。

湯浅:加藤さんは、2002年に1度議員を辞めて、そのあと地域のミーティングを750回繰り返されたそうですね。地域の人たちの振る舞い方とか、人を見る見方などは、地域集会を繰り返す中で、加藤さんご自身が発見されたことですか。

加藤:半分はそうですね。

湯浅:だって加藤さんはものすごいエリートコースを歩まれていたわけですから、地元に帰る時間なんてほとんどなかったでしょう。

加藤:いや、ありますよ。今も、やってる。僕74歳だから、当たり前だけど小学校の同級生はみんな74ですよ(笑)。それで地元に帰ってね、同級会かなんかやるでしょ。それで酒飲みながら、「おい、加藤な。あの安倍っていうのが総理やってるけど、なんだか落ち着かねえんだよな、不安なんだよな」「危ねえような気するな」。とか、みんなの田舎からの直観で言うのよ。

湯浅:それを加藤さんは、「地域の保守と理念の保守」と対比しておっしゃっていますよね。安倍さんが理念の保守だというのは、どういうことですか。

加藤:あの人、地域を回ってないんだね。それで東京で酒飲みながら、日本の運命決めてんじゃねえかなと思うな。やっぱり地域に入って、いろんな人たちの声を膝を交えて直接聞いてそれをまとめていけば、いろんな人の意見を反映する形になるので、大きくは間違えない。それを東京の意見だけに乗っかっちゃうと危ないよ。

湯浅:地域に入って、いろんな人たちの声を聞いてそれをまとめていけば、多様な意見を反映する形になるので、自分の意見がそれらを反映した普遍的なものになって、結果として大きくは間違えない。そうじゃないと、似た意見しか入ってこなくなりがち、という意味ですか?

加藤:それで30年後に、こんな日本になったなんて気がつかなかったとか、なんて言われても困るよね。

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